配偶者用Work Permit(ワークパーミット)|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
カナダ移民局(IRCC)は、今年に入ってから1年間におけるStudy Permit発行数に上限を設けるなど、様々なルールの変更を行っています。続けて、次の改訂が発表されました。今回は配偶者用のOpen Work Permitについてです。今月はこのことについて詳しく説明します。
配偶者用Work Permitとは
「配偶者用」と言っても、色々な種類のOpen Work Permitが存在します。例えば次のような方々は「配偶者」としてカナダのOpen Work Permitを申請することが可能です。
- 有効なStudy Permitを保持している、短期滞在者の配偶者
- (一定の条件を満たしている)有効なWorkPermitを保持している、短期滞在者の配偶者
- カナダ人、或いはPR保持者の配偶者で、自身もPR申請をした者
Open Work Permitとは、特定の雇用主の下でのみ働ける、という限定がされていない、つまりオープンにどの雇用主の下でも就労可能である、という種類のWork Permitを指します。
Spousal Open Work Permit
申請条件の変更点
2024年3月19日付で、「有効なStudy Permitを保持している、短期滞在者の配偶者」が申請を許されている、Spousal Open Work Permit(SOWP)の申請条件が大幅に変更となりました。
申請できるのは、有効なStudy Permitを保持しており、且つ次のプログラムのいずれかにて就学している短期滞在者の配偶者のみに限られます。
- University或いはpolytechnic institutionにおける、Master’s degree program
- University或いはpolytechnic institutionにおける、Doctoral degree program
- Universityにおける、下記プログラム:
– Doctor of Dental Surgery (DDS, DMD)
– Bachelor of Law or Juris Doctor(LLB, JD, BCL)
– Doctor of Medicine (MD)
– Doctor of Optometry (OD)
– Pharmacy (PharmD, BS, BSc, BPharm)
– Doctor of Veterinary Medicine (DVM)
– Bachelor of Science in Nursing(BScN, BSN, BNSc)
– Bachelor of Education (B. Ed.)
– Bachelor of Engineering (B. Eng., BE, BASc)
つまり今後Study Permitでカナダに留学する者に配偶者として帯同し、カナダ国内で就労したい場合、留学する配偶者はこれらのプログラムのうちいずれかにて就学していなければなりません。これまでのように、UniversityやCollege(州立、私立)にて就学していれば、どのプログラムであっても良い、という条件ではなくなりました。
2024年3月19日より前にSOWPを申請済みである場合
申請ルールが変更となった、3月19日より前にSOWPを申請した方々については、IRCCは「配偶者(つまりStudy Permitを保持している留学生)が次の条件を満たす者にのみ、その配偶者にSOWPを発行する」としています。
- 有効なStudy Permitを保持している
- 就学しているプログラムはPGWP対象である
- フルタイムで次の学校のうちのいずれかにて就学している
– College
– University
– Quebec州のCEGEP
– Quebec州の私立のCollegeレベルの学校
– カナダの私立の学校にて、州の法律によりBA、Master’s、Ph.Dなどの学位を取得することができる
従ってこの条件を満たしていない場合、3月19日以前にSOWPを申請したとしても承認は出ないとのことですので、注意が必要です。
カナダ政府の意図や今後の予想
IRCCの大臣であるマーク・ミラー氏は、今回SOWPの申請条件を大幅に変更した理由を「これまで、Spousal Open Work Permitも、悪用されるケースが相次いでいたことをIRCCは把握している。今後はこのビザの発行数に関する課題のみならず、このプログラムの倫理性を重んじていくため」と説明しました。「悪用されるケース」の具体例は挙げていませんでしたが、(留学生が受講しているプログラムのレベルによっては)配偶者がSOWPを取得し、カナダで就労できる権利をあげるという価値に値しないと政府が判断したことになります。
カナダ首相は、不動産危機に陥ったことの原因は留学生の莫大な受け入れが影響していることを認め、年明けからStudy Permitについて厳しい法律改訂を行っています。今回のSOWPの申請条件改訂についても、悪用を根絶するため、そして何よりも現在国会で問題視されている、留学生やPRの受け入れを制限する必要がある、という政策の一環であるとの認識です。
「カナダに留学する」というハードルが高くなったことはもちろんのこと、今回のSOWPの申請条件変更で「夫婦、或いはパートナーとカナダに行って勉強する」という夢を持っている留学生にとって、カナダは魅力的な国と映らなくなってしまうことを懸念しているとメディアでは報じられています。これまで留学生がカナダにもたらしてきた経済的な影響は計り知れなく、Universityなども次々「今後は赤字決算になるであろう」と公に発表しています。
今後、改訂によって色々なことが良い方向に変わっていくことを願っていますが、それと同時に歪みも出てきてしまうのではないかと懸念しています。いずれにしても動向を見守っていき、新しいニュースがあり次第、直ちにTORJA読者の皆様にお届けできるよう引き続き尽力致します。