Restoration of Status|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
日本人がカナダに短期滞在者として入国する場合、観光(eTA或いはVisitor Record)、Study Permit、Work Permitなどの法的ステータスを保持することになります。これらのステータスには当然「失効日」というものが存在します。自分のステータスがいつ失効するかということを把握することはとても大切なことです。今月はステータスを保持できなかった場合にどのようなオプションがあるのか、ということについて解説します。
失効した場合
短期滞在者が、ステータス失効日を過ぎてから(合法的なステータスを保持せずに)カナダに滞在し続けているシナリオとして、以下が考えられます。
- ステータスの失効日を把握していたが、延長申請することを失念していた
- ステータスの失効日を把握しておらず、気がついた時には失効していた
- 移民局(IRCC)が申請を却下したことでステータスを失った
カナダの移民法は、これらのシナリオにおいて短期滞在者がカナダで有効な一時滞在ステータスを取り戻すいくつかの選択肢を提供しています。
カナダを出国して再入国する
この方法は短期滞在者がカナダで合法的なステータスを取り戻すために行うステップとして、常に存在してきました。ただこの方法は簡単なようで、一番リスクを伴う方法であると(この業界に関わる者の間で)認識されています。国境のCBSAのオフィサーに対して、申請者が「今回合法的なステータスを取り戻したとしても、その失効日には必ずカナダを出国する」ことを納得させる義務が生じます。この「次回は出国することを納得させる」という行為は、申請者が既に失効日を超えてカナダに滞在している場合、当然難しくなります。そしてステータスを取り戻す際に申請者が就労・就学を希望する場合、更にそれらのカテゴリーの申請条件を満たしていることをCBSAのオフィサーに示す必要がるため、ハードルが高くなります。そしてCBSAのオフィサーによって審査に「ムラ」があるため、審査結果は必ずしも同一ではないということについても理解が必要です。
カナダ国内にてRestoration申請をする
失効日より90日以内であり、まだカナダ国内に滞在していれば、移民法によりオンラインでRestoration申請(ステータスのリカバリー申請)をすることが可能です。このオプションはカナダ国内に滞在している者に限られています。90日を過ぎて申請しようとしても、自動的に却下されますので注意が必要です。
90日間のカウント方法
通常、保持しているステータス失効日から90日をカウントします。但し場合によっては、カウントを開始する日をオフィサーから指定される場合もありますので、注意が必要です。
保持しているステータスの失効日前に、次のステータス(延長或いは新規)申請を行った場合で、IRCCが申請を却下した場合、Refusal Letterに却下理由と共に「あなたのステータスは何月何日で失効します」という指示が記述されます。その日付がRefusal Letterの日付と記述されるか、以前に保持していたビザの失効日と記述されるかで、Restoration申請ができるかできないかが分かれることとなります。
例えば短期滞在者が5月1日に失効するステータスを保持しており、4月28日に延長申請をしたとします。その申請が却下になったというRefusal Letterを8月5日に受領した場合、「あなたのビザはこのレターの発行日(すなわち8月5日)に失効します。Restoration申請をしたいのであれば、90日以内に申請して下さい」という記述がありますが、審査を担当したIRCCオフィサーによっては、「あなたのビザは5月1日に既に失効しています。直ちにカナダを出国して下さい」という一文をRefusal Letterに記述する場合もあるということです。後述の場合、既に5月1日から90日を過ぎているため、Restoration申請のオプションは自然となくなります。
従って正しいオプションを知るためにも、Refusal Letterの内容は細心の注意を払って読み解くことが重要となります。
Restoration申請中
移民法の183(5)条により、ステータス失効前に何らかの次のステータスを申請した場合で、失効日を過ぎてしまった場合でもMaintained Status(旧Implied Status)としてカナダに合法的に滞在することが可能です。その場合、条件を満たせば継続して同じ条件の下、就労や就学することが可能になります。
沢山の人がRestoration申請中もこのMaintained Statusが適応されると誤解しています。一度ステータスが失効してしまい、90日以内にRestoration申請をした場合、その審査が完了するまではカナダに合法的に滞在することはできても、継続して就労・就学することは禁じられていますので要注意です。
Restoration申請というオプションは存在するものの、短期滞在者は常にステータスの失効日をしっかりと把握し、その日までにカナダを出国する、或いは延長申請を行うことがカナダで「合法的なステータスを保つために最も大切である」とお考え下さい。