PGWPの大幅改訂(検討中)|カナダで永住権! トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
今年の春、留学生の数を制限するためにStudy Permit発行数に上限が設けられました。それに続いて先日、カナダ移民局(IRCC)の大臣は、Post-Graduation Work Permit(PGWP)の申請条件が大幅に変更する可能性があることを示唆しました。IRCCが公にした「カナダで受け入れている留学生に関するレポート」によると、PGWPの申請条件を変更するにあたって、その変更内容を定めるために、現在各支所に向けてアンケートを行っているとのことです。今月号では、アンケートを読み解いて見えてきた「政府が検討している変更内容」について解説します。
変更が検討されている内容
幾つか大きな変更が検討されています。
- カナダの労働市場(Labour Market)において、需要があるにも関わらず人手不足とされている職種をNOCコードで限定し、これらの職種に関連するプログラムを卒業した者のみPGWP申請ができる
*但し、例外としてフランス語関連のプログラムやMaster’s、Ph.D.のプログラムで就学した人にはPGWPを制限無しで発行する可能性が有るとのこと
- PGWP申請前に、カナダにおける就職先からのJob Offerを取得する
- PGWP申請時に、語学力を証明(言語テストの結果が指定されたレベルに達しているかなど)する
尚、これらの変更が既存の留学生にも適応されるか、或いは現行の申請条件のままであるか、などは全く不明です。現時点では政府が各所にアンケートを送って意見を募っている状況です。
アンケートの内容
アンケートの内容もとても興味深く、知っておくと今後のIRCCの動向を推測することにも役立つかもしれません。以下がその内容です。
- あなたの地域において、Labour Marketで需要があるにも関わらず人手が不足している職種のみに絞るとPGWPの申請条件を改訂した場合、どの職種が該当しますか?
- フランス語が第一言語の留学生や、大学院にて就学している留学生など、変更から除外されるべき人々について意見を聞かせて下さい。
- PGWPを1年以上保持するためには、指定の職種におけるJob Offerの証明を示す必要があるべきでしょうか?
- PGWPを1年以上保持するためには、言語能力や、州におけるサポートなど、他の資格基準を適応するべきでしょうか?
- 今年発表されるこれらの変更を、既存の留学生は除外せずに、全ての卒業生に適用することについて、意見を聞かせて下さい。
- 各州の個人移民申請プログラムについて、需要のある職種でのJob Offerを持つ卒業生のPR申請の見通しについて、Feedbackを聞かせて下さい。
- あなたの地域のLabour Marketにおける需要と、連邦政府のプログラム(PGWPや移民申請プログラム)の間にギャップはありますか?
変更時期
IRCCが公にしたレポートによると、「Labour Marketの需要に見合ったPGWPの申請条件を模索し、レポートを大臣に提出するのは2024年の春とし、実際に改訂するのは2025年1月を目指す」としていますが、アンケートの内容から推測するに、変更の発表は今年中となります。
変更目的
PGWP申請条件改訂に関するこれらの検討内容は、「申請資格をカナダのLabour Marketの需要に合わせることでPGWP保持者数を減らし、留学生が(需要のある職種で)カナダで得た教育やスキルを生かして成功する可能性を高める」ことを目的にしています。
過去10年以上にわたり、PGWPはUniversityや州立のカレッジを卒業した留学生が申請できるOpen Work Permitとしてとても人気のプログラムでした。Openであるが故にこれまで申請するためにJob Offerが不要であったことも人気の理由でした。ただこれがカナダにおける留学者の急増の原因ともされてきました。
専門家は、卒業後のPGWPの申請条件を調整することが、「カナダにおけるStudy Permitプログラムの本来の目的を回復することとなり、更にPRを申請する者の質を向上させて、カナダで得た学業をカナダのLabour Marketの需要に合わせる」、という連邦政府の目標を達成するための手段になり得ると述べています。
所感
もしこれらの変更が反映された場合、今後カナダを理想的な留学先と捉える人の人数が大幅に減少するのでは、と思慮します。特に日本など英語が公用言語でない国からの留学生にとって、「カナダ人やPR保持者が支払う授業料の3~5倍もの授業料を支払って就学し、卒業後にカナダで就労もできず、更に移民申請の見込みも無いのでは、留学先としての魅力がない」と考えられてしまう可能性も高いと感じています。
カナダの職不足は留学生が原因だとする一方、カナダは留学生から移民になった人たちの知識・経験・スキルで成り立っている国だとする意見もあります。バランスが大変困難な分野であると思います。