カナダポストのストが与える影響|カナダで永住権!トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
明けましておめでとうございます。本年もTORJAの読者の皆様に有益な情報をお届けできるよう、尽力致します。どうぞ宜しくお願いします。
新年最初の話題は、昨年(2024年)11月15日より始まったカナダポストのストライキについて、どのような影響がビザ・移民関係にも出ているかということです。
ストライキの原因と現在の状況
IRCCの大臣が毎年11月に発表する、政府の移民計画を指します。この計画は11月を境目として、今後3年間に受け入れ予定の移民者数と、その内訳詳細を示しています。Immigration Levels Planは毎年「経済・人口・人道的義務」を配慮しつつ、カナダ国内の資源や公共サービス等のバランスを図ることを目的としています。この計画を発表することは、カナダにおける移民の人数を把握し、社会の構造や経済の変化を予測することが可能となり、また国としての成長を促すという意義があります。
2025年から2027年の計画内容
このストライキの背景としては、労働者の賃金、福利厚生、労働条件をめぐる対立が挙げられます。カナダ郵便労働者組合(CUPW)は、インフレーションに対応するための賃上げ、歯科や医療保険などの福利厚生の改善、そして職務遂行中の安全性の向上を求めています。また温暖化などの気候変動の影響で厳しい天候下での作業が増え、労働者の健康と安全に大きな負担が生じていると主張しています。さらにCUPWは、地方の郵便配達員が都市部の配達員と同等の仕事をしているにもかかわらず、賃金が低いことを不公平だとして改善を求めています。
この記事を書いている2024年12月半ば時点で、カナダポストとCUPW間における交渉は停滞しており、年末の繁忙期に向けて消費者や企業に大きな影響を与えています。12月13日にはカナダ労働省の大臣が会見をし、カナダポストとカナダ郵便労働者組合(CUPW)との現在の交渉について「双方の間に大きな隔たり」があるとカナダ産業関係委員会(CIRB)が認めたため、CIRBが12月17日から職場復帰をするように命じたと発表しました。
ビザ・移民申請にも様々な影響を及ぼしている
カナダポストのストライキと聞くと、ビザや移民申請にはあまり関係無いと思う方もいるかもしれませんが、実際には多大な影響を与えています。弊社のお客様にも次第に影響が及んできましたので、その具体的な例を挙げながら解説します。
ビザ原本郵送
Work PermitやStudy Permit、Visitor Recordなど、カナダ国内にてビザを申請した方々については、申請が承認されると通常数週間でビザ原本が郵送されてきます。その郵送はカナダポストが行っているため、現在「申請は承認されたものの、肝心のビザ原本が手元に届かない」方が続出しています。ビザが届かないので「日本に一時帰国するのもままならない、出張にも行けない」という方も出てきています。どうしてもカナダを出国しなければならない方には、「カナダに再入国される際に承認レターを国境のオフィサーに見せて、ビザ原本を国境で印刷してもらう」という処置をお願いしています。ストライキが終わり、ビザが無事弊社に届けば国外へクーリエで郵送することもできますが、現時点でいつ終わるのかが見えないため、この最終手段をお願いしている次第です。
PRカード郵送
個人移民申請、Sponsorship(家族移民)申請をされた方で、めでたく申請が承認され、Confirmation of PR(CoPR)を取得された方にも影響が及んでいます。無事カナダでPRとなり、おめでたい!と思いきや、PRカードの郵送がカナダポストのストライキの影響で滞っているのです。ご存知の通り有効なPRカードが無ければ、カナダに再入国することはできません。やむを得ない理由でカナダを出国した場合には、滞在先のカナダ大使館・領事館を通してPR Travel Document(PRTD)を取得してカナダに再入国する必要があります。PRTDが発行されるまでパスポート原本を預けなければならないため、希望のタイミングでカナダに帰国することが難しくなります。In-Canada Sponsorship申請など、PR申請中は国外に出国禁止というルールのあるプログラムを経て晴れてCoPRを受領した方々は、カナダ国外に出国することを心待ちにしているので、PRカードを受領できないのは歯がゆいのではないかと思います。
カナダのパスポート郵送
先日CBCのニュースでも報道されていましたが、現在181,000人がカナダポストのストライキの影響でカナダのパスポートを受領できず、混乱が発生しています。カナダのパスポートは郵送と対面の2種類があり、「旅行まで十分に時間がある人は、是非郵送申請を利用して下さい」と政府は促しています。便宜も考慮して郵送で申請した方々のパスポートが、ストライキの影響で家に届かない、という状況に陥っています。この記事を書いている12月中旬はホリデーシーズンということもあり、パスポートセンターは「郵送申請した人が至急対面でパスポートを受け取ろうとして大混雑」しているとのことでした。
このように、カナダポストのストライキは一般的な影響(パッケージが届かない、送れないなど)の他にも、ビザや移民申請など専門的な分野にも影響を及ぼし始めています。主に政府の書類の郵送がカナダポストに一任されていることがこれらの原因かと思いますが、ストライキが長期化してきたことを受けて、フレキシブルに「クーリエ郵送に切り替えます」と発表するような国で無いことは、カナダに長期間お住まいの方であれば想像がつくかと思います。カナダポストの業務は一時的に再開されましたが、最終的に双方の間で合意に達することができるよう、切に願っています。
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