結婚写真が原因で永住権申請が却下?|カナダで永住権!トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
先日、移民申請却下に関する記事を読んでいたところ、「結婚式出席者の殆どがアジア系だったことや、新郎新婦がスキンシップをとっている写真が含まれていなかったことが原因でSpousal Sponsorship申請(配偶者の移民申請)が却下された」という信じられない内容を目にしました。人種差別などもってのほかであるカナダにおいて、そんなまさかという気持ちになりました。
背景
内容が気になってしまい、実際にカナダ連邦裁判所の判決文を読むことにしました。結論からお伝えすると、移民申請却下という結果は、単純に「移民局に提出した結婚写真が原因」ではありませんでした。それよりも「見出しの内容」と「判決文から読み取れる内容」にはかなりの差がありました。
ケースの背景としては、カナダ国内から配偶者の移民申請をされた方が、移民局(IRCC)から申請を却下され、その理由としてIRCCの審査官が「申請者とスポンサーの婚姻関係が真実に基づいており、且つ移民上の利益を得ることを主たる目的としていないことについて、十分な証明がされていない」と判断し、結果的に却下したということでした。
この結果に対し申請者側は、「提出した証拠が適切にIRCCから評価されていない」「写真に関する指摘の一部は事実と異なっている」と主張しました。IRCCの審査官は「夫婦が手を繋いでいる写真やキスをしている写真がない」と理由に述べていましたが、実際申請者がIRCCに提出した移民申請のパッケージには、まさにそのような写真が含まれていた、と裁判官が判決文にて認定しています。
判決文を読み解く
裁判官が今回の件で問題であると述べたことは、IRCCの審査官が拒否理由を十分に説明しなかったことや、その判断をするに至るまでのプロセスでした。
例えばIRCCの審査官は、家族や友人から提出されたサポートレターについて、「申請者に好意的な立場の人だから」という理由であまり重視しませんでした。しかし裁判所は、配偶者スポンサーシップの案件では、家族や友人こそ夫婦関係をよく知っている場合も多く、単に提出者との関係だけを理由に証拠価値を低く評価するのは適切ではないと指摘しました。
更にIRCCの審査官が指摘した、結婚式の出席者の人種や服装について、どのように結論に繋がるのか十分に説明されていないと裁判官は判断しました。
ここまで読むとIRCCの審査官が判断ミスをしたように思えてしまうかもしれません。更に判決文を読み進めてみると、申請パッケージには共同名義の賃貸契約書が含まれておらず、大家が発行したレターのみであったこと、共同口座の利用履歴が限定的であったこと、政府が発行した同じ住所のIDが含まれていなかったこと、二人の間のテキストメッセージが少なかったことなど、夫婦としての日常生活や経済的な結びつきを示す客観的な資料を十分整えて申請したとは言い難い内容だったようです。
この結果、裁判官は「この判断は合理的とは言えない」として、別のIRCCの審査官による再審査を命じました。ただこれは、「この夫婦の愛は真実である」と認定し、永住権申請を承認するよう命じたわけでもありませんでした。
学んだこと
この判決を読み、とても考えさせられたことが二つありました。
一つ目は、「記事の見出しだけでは全容は分からない」ということです。読者の目を引く「アジア系の出席者」や「結婚写真」の話題を大きく取り上げることの方が重要になってしまい、夫婦が同居している実態や経済的な結びつきを示す証拠が十分とは言えなかったなど、IRCCの審査官が婚姻関係の真正性に疑問を持った他の理由もあった、という事実が欠落していました。
カナダ連邦裁判所の判決文を英語で読む機会は(法律に興味がある・法律の仕事や勉強をしている方でない限り)少ないと思いますが、記事やニュースで見ただけの情報が全てではないと再確認しました。
二つ目は、「強いケースは申請準備に時間をかけている」ということです。
たとえ夫婦関係が真実の愛に基づくものであっても、それをIRCCに書面で証明できなければ、移民申請は承認されません。移民法では「申請者に証明の義務が課されている」としています。「この程度で大丈夫だろう」と考えて申請を進めた結果、後になって追加資料の提出や申請却下につながるケースは少なくありません。特に配偶者スポンサーシップでは、どのような証拠を提出するか、そしてそれらをどのように整理して説明するかが非常に重要です。
申請が却下された後に裁判で争うことは、時間的にも精神的にも、そして経済的にも大きな負担になります。だからこそ、最初の申請段階で十分な証拠を準備し、必要に応じて経験のある弁護士や政府公認移民コンサルタントにアドバイスを求めることが重要であると私は考えています。






