【第21回】授かり婚|私、国際結婚します!! でもちょっとその前に知っておきたいお話
授かり婚
授かり婚とは、妊娠したことをきっかけに結婚することを言います。厚生労働省の「出生に関する統計」によると、出産した夫婦の四組に一組がこの授かり婚、なのだそうです。日本国内の授かり婚は、1980年には10%程度でしたが、2000年ごろ25%を超えて以来、四組に一組が定着していると言われています。
親への報告
さて、日本の両親にとっては、海外で暮らす娘から突然妊娠を告げられたら、嬉しさよりまず心配が先に立つことでしょう。できれば、婚約を伝えた後に子供を授かったことを知らせたいものですね。
授かり婚に際して、親が最も案じるのは、「無計画さ」でしょうから、できるだけ具体的に今後のことを報告できるとよいと思います。特に、結婚生活のために親からの資金援助を期待している場合は、「具体的な計画」は何よりの説得材料となるはずです。
心配する親の説得
親が授かり婚を手放しで喜べない理由の一つに「授かり婚は苦労する」というまことしやかな噂があるからです。科学的根拠には乏しいものの、その説得力に思わず頷いてしまうものを幾つか紹介しましょう。
①ワーホリ女性の授かり国際結婚の場合、付き合った期間がとても短いので、結婚後に夫の暴力癖が判明する。
②相手の仕事の詳細や経済状況を把握しないまま結婚するので、子供を産んでから夫に経済力がないことに気づく。
③新婚のもっとも楽しいはずの期間に妻が育児にかかりきりになってしまうので、夫が外で遊んだり浮気したりしがちである。
いかがでしょう。こんなコメントを目にしたら、授かり婚を喜べないのは無理もありません。ですから、「無計画=無謀」を連想させやすい授かり婚を報告する際には、親の懸念を一掃する将来設計を持つことが必要なのです。この将来設計は、国際結婚に関する自分自身のビジョンを確立するためにも欠かせないものですね。
授かり婚の離婚率
「授かり婚の離婚率は八割?」というのも、まことしやかなネット上の噂です。授かり婚の離婚率が高い理由として、ある結婚サイトでは、「夫婦の成立期の欠如」を挙げています。参考までに、内容をまとめました。
「夫婦の出会いから結婚を決めるまでの期間を成立期と呼び、この期間に相手の性格や考え方を理解し、互いの価値観を受け入れる努力をします。しかし、短期間の交際で授かり婚した夫婦の場合、この成立期が足りません。ですから、突然育児が始まり生活が急激に変化していく中で、相手との価値観の差に戸惑うことになるのです。結果、短期間で決めた結婚同様、短期間で離婚を選ぶことが多いのです。」
なるほど…やはり頷いてしまいそうですね。
足りない時間を埋める努力
授かり婚の場合、新婚生活は子ども中心となり、夫婦二人の時間をゆっくり持つのはむずかしいですね。国際結婚で、自分の両親や家族が近くにいなければ、なおさらでしょう。そんな暮らしの中で、ふたりの気持ちがすれ違ったり、些細なことで喧嘩になったりすることもあるでしょう。
けれども、 夫婦間の衝突を相手のせいにするのでなく、成立期が足りなかったことが原因だと理解することで、思いやりが保てるのではないでしょうか。
スピード授かり国際結婚カップルは、結婚した後でゆっくり成立期を築けばよいのです。焦らず結婚生活を維持させる努力を続ければ、きっと足りない時間を埋めることができるはずです。
何がきっかけであっても、縁あって結ばれた二人…授かり婚、心から祝福します。
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野口洋美 心理学名誉学士(HBA)、コミュニケーション学修士(MA)
オンタリオ州公認パラリーガル、国際離婚経験者のピアサポートグループAPJW(NPO)理事
別居や離婚を経験することになった日本女性の相互支援(ピアサポート)団体(web:apjw.info)の代表として、自立に向けての様々なテーマで勉強会を毎月開催。国際離婚関連の執筆多数。離婚駆け込み寺(日加タイムス)、ひとり親のつぶやき(mamma、日系ボイス)など連載。2014年、国際離婚とハーグ条約をテーマにヨーク大学にて修士論文を発表。法律通訳としても活躍中。