東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い 第42回
東日本大震災から今月で4年と9か月、被災地にも今年も寒い冬がやってきます。仮設住宅は建設から4年以上が経過して、あくまで「仮設」の住宅のため、住むのには限界が来ています。隙間風が増えてきて、暖房も効かなくなってきている仮設住宅もあるそうです。そもそも「仮設」に4年以上も住むなんて思っていなかった人たちがほとんどだと思います。このままでは生涯を「仮設」で過ごさなければいけない人も出てくるのではと心配している今日この頃です。
そんな中、東日本大震災で被災した3県の震災犠牲者の遺骨が205人分引き渡しがされていないそうです。205人の中で、岩手県は120人分が引き渡しされていないそうで、この数はとても多いと私は思っています。理由は身元不明が多く、これだけの遺骨があるにも関わらず、親族のもとに帰ることが出来ていないなんて、あまりにも悲しい現実です。
遺骨を保管しているのは16市町村になり、お寺に預けたり、納骨堂を設けたりして独自に供養をしておりますが、保管期限やその人の宗教が何なのかわかりませんから、本来の供養方法とは違う供養の仕方になっていないかなど不安で頭を悩ませています。これらの遺骨は県別に集計すると、岩手県が先ほども書いた通り120柱、宮城県が83柱、福島県が2柱と、圧倒的に岩手県が多いのが現状です。これらのうち、岩手県の56柱と宮城県の58柱は体の一部の部分遺骨だと言います。
3県の県警察はDNA鑑定で身元の特定をこれまで進めてきましたが、津波で本人の毛髪や衣類などが流されて、DNAの試料が取ることが出来ないなど、特定するのが困難な遺骨が残り、205柱の遺骨のうち、なんと197柱が身元不明のままの遺骨なのだそうです。残り8柱は身元が判明していますが、親族側の事情により、自治体が保管しています。
遺骨に罪は全くありませんが、震災からもうすぐ5年も経過するのに、愛する家族のもとへ帰ることが出来ない遺骨。さらには、手がかりも何も無く、今でも行方不明者の捜索をしている残された家族。または死亡届を出して、気持ちの区切りをつけてはいるものの、遺骨が無い状態でお墓をたてなければいけなかった遺族。せめて、身元が特定されれば、帰ることが出来る遺骨が197柱もあるのに、打つ手がないのが現状です。
この遺骨の保管の期限なども問題になっており、通常の身元不明の遺骨とは取り扱いを別にして、長期間保管するようにはしている自治体が多いのですが、これも先の見えない話です。保管費用も無料ではなく、自治体で負担している現状も、長く続けていくと大きな負担となりますが、こればかりはお金に変えることの出来ない事なので、とても難しい問題です。
自治体職員も苦悩しながら身元不明の遺骨と向き合っています。私たちに出来ることはあまりないのかもしれませんが、せめて愛する家族のもとに全ての遺骨が帰ることを願ってやみません。
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東京農業大学客員教授
久慈 浩介