日本人による日本人のための法律相談 ー 第4回 離婚費用とリーガルエイド・サティフィケート
離婚届の提出で離婚が成立する日本と異なり、オンタリオ州の離婚には、まずセパレーション・アグリーメントが必要になります。離婚申請の際、親権や面会交流、財産の分割方法などの詳細を添付しなければならないからです。
離婚に関する法律はたいへん複雑で、公平な離婚を成立させるためには、法の専門家への依頼が必要になります。でも気にかかるのが費用ですね。そこで今回は、双方が公平な離婚成立に積極的な場合の協議離婚にかかる費用についてのお話です。
◆離婚費用とリテイナー
離婚費用には、弁護士費用と離婚申請費などの経費があり、弁護士を雇うときには、リテイナーと呼ばれる保証金が必要になります。リテイナーはトラスト・アカウントに預けられ、費用が発生した際にここから支払われます。もしリテイナー以下の金額で法手続きが終了した場合には、使用しなかった金額が払い戻されますが、足りなくなった場合は補填しなければなりません。
さて、実際に離婚にかかる費用はいくらでしょう。夫婦が親権や面会交流、財産の分割方法などのすべてに完全に同意している場合の離婚申請のことをシンプル・ディボースと呼びます。これが最もお金のかからない離婚です。それでも、弁護士費用に$1,000~2,000、離婚申請料などの経費に$500程度かかってしまいます。
したがって、弁護士がクライアントから提供された情報に基づいてセパレーション・アグリーメントを作成し、配偶者側の代理人と交渉を始める場合のリテイナーは、$2,500が一般的です。
◆公的法支援
このリテイナーの支払いが困難な人のためにリーガルエイドという公的法支援組織があります。リーガルエイドでは、それぞれのケースによって定められた時間数の弁護士費用の支払いに充てることのできるリーガルエイド・サティフィケートを交付しています。
しかしこの公的支援を受けるには、年収の上限が以下のように定められています。
尚、年収上限1とDV被害者の対象者への支援が無料である一方、年収が1と2間の申請者は、家族数に応じ月額$50から$125をリーガルエイドに返済しなければなりません。
◆リーガルエイド・サティフィケートの限界
しかし、サティフィケートが入手できても、サティフィケートでの支払いを受け入れるファミリー・ロイヤーはほとんどいないのが現実です。サティフィケートに記された時間内では複雑な家族法案件の費用を賄いきれず、支払いが滞ってしまうことが多く、リーガルサービスを中止せざるを得なくなってしまうからです。
◆中間所得者の離婚への支援
リーガルエイドの支援が得られるほど低収入ではないものの、弁護士を雇う余裕はないという中間所得者の離婚に対する公的支援は、残念ながらありません。働く女性たちの多くが、制度の狭間で苦しんでいるのです。
Y. Liu Law Firmはそんな働く女性の味方です。下記セミナーで詳細をお尋ねください。
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