4. なぜ、ここまでカナダは移住したい国に 選ばれ続けるのか?|第一特集「カナダの“なぜ”に迫る第2弾」#数字で見るシリーズ
幸福度の高さ
ここ数年で世界中から移民が急増してきたカナダだが、移住したい国のトップに選ばれるのは今に始まったことではない。
世界の幸福度ランキングではカナダは13位。昨年「U.S. News」が発表した「Quality of Life」ランキングでもヨーロッパの国と並んで5位にランクインしていた。
自然も多く、アクティブなライフスタイルを送りやすい。それからカナダでは日本と同じように国民皆保険制度を採用していることが大きな理由だと考えられる。ファミリードクター不足や緊急外来での長い待ち時間はともかく、それにかかるお金の負担が少ないことで助かる人は多いのではないだろうか。
教育と安全
教育の質の良さも、発展途上国からすれば質は高い上、高校卒業まで無料であることは有難い。そして安全も大事だ。お隣のアメリカでは銃撃乱射事件のニュースが一年中聞かれる。アメリカでは100人の住人ごとに120.5もの銃が所有されているが、カナダでは100人ごとに34.7で差が大きいことがわかる。銃規制に関してカナダは比較的厳しいが、どの国でもあるように、カナダでは銃以外の武器が原因の事件ももちろん多い。ここ数年トロントでは暴力や切りつけ事件が目立ったが、国全体では2003年をピークに犯罪率は低下しているという。
もう一つ安全点を挙げるとすると、トロントのような街の場合徒歩でどこでもいけることが魅力的だ。トロントの地下鉄と路面電車のシスステムは、ローカルの人からすれば遅れや工事続きで悪い点ばかりのように感じるかも知れない。だがどの国の移民が見るかによっては利点も多い。
おわりに
インド人移民が急増した背景にあるように、人々の多くは良い教育へのアクセスと給料の良い仕事に就けるチャンスを求めてカナダ移住を望んでいる。どんなリスクを負ってでもカナダに行きたいという人たちにはカナダが現在面している政治や社会インフラの問題など見えていないかも知れない。そしてこれから移民政策が変わろうとも、移民を望む人の数は絶えないだろう。
英語には「Grass is always greener on the other side(隣の芝生はいつも青い)」ということわざがある。欲しいものが手に入らない時こそ、よそのものは何でも素敵に見えるものだということだ。全ての移民が何を求めて国境を越えるかは知り得ないが、悲しいニュースが続くこの世の中、争いが起こらない国であり続けて欲しい。