白樺のカヌー|オンタリオ州・アウトドアの魅力。楓の森の歩き方 第52歩
オタワのカナダ国立美術館は、2017年6月にリニューアルされ、およそ五千年前から近年に至るまで、八百点以上のカナダの歴史を物語る絵画や彫刻、銀の装飾品などが展示されています。
ケベック州のファースト・ネーションの共同体、Kitigan Zibi Anishnabeの芸術家Simon Brascoupeは、「カナダの先住民から受け継がれた芸術は、土地やその場所に住む動物や植物、人、そして、スピリチュアルな存在に影響を受けている。土地は私たちの教師でもあり学校でもある。」と言っています。
美術館でひと際わたしの目を引いたのは、昔ながらの美しい手作りカヌーでした。
それは、白樺の皮で作られた伝統的なカナディアンカヌーで、わたしは先住民の方達からの最大の贈り物と言っても過言ではないと思っています。そしてまた、カナダの大自然(土地)とも、この偉大な贈り物は結びついています。
伝統的なカナディアンカヌーを作る上でもっとも重要な材料の白樺は、カナダ全域で採取することができ、その樹皮は加工しやすく、光沢があり薄くピンク色がかった白色です。
白樺の皮でのカヌーの制作はサイズにもよりますが、十分な大きさと幅を持つ白樺を見つけることが最も難しく、複数の樹皮が必要な場合もあります。用意した白樺の樹皮の内側を外になるように型に配置して、石の重しを置き固定します。白樺のカヌーは、樹皮の裏側をカヌーの表として使うのです。
形を整えた樹皮を、木製の骨組みに折り込むように組み付け、トウヒやホワイトパインの根を割いて作った紐で縫い付け固定されます。船べりには、ガンネルと呼ばれる木製の部品が取り付けられ、スォートと呼ばれるクロスバーも取り付けられます。
カヌーの形状が整うと、縫い目や補強箇所にトウヒのヤニと獣脂等で作られた防水材で防水加工し、仕上げます。
この夏、オンタリオパークスの125周年を記念して、Murphys Point Provincial Parkでは、7月7日から20日まで白樺の皮のカヌービルダー、Chuck Commandaにより、公園や周辺で採取した白樺、トウヒ、アッシュ等の材料を使い、カヌー制作の実演が行われます。彼は、Kitigan Zibiで育ち、伝統的なカヌーの作り方を受け継いでいます。そして今、伝統的なカヌーの作り方を広く伝えようと、カヌー作りの技術を公開しています。
14日間かけて造られたカヌーは、7月の21日に進水式を行います!
ぜひこの期間中に、Murphys Point Provincial Parkへ訪れてみてください。
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Holly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。
Special Thanks, Cameron T Powell 写真 / アートワーク / レイアウト:尾西知樹 翻訳:瀧川貴子