カナダでさらなる日本酒市場の拡大を目指して。ジェトロトロントがペアリングセミナー「Sake Basics and Food Pairings」をオタワで初開催
3月1日、ジェトロトロントは、在オタワ日本大使館協力の下、日本酒セミナーをオタワ市ダウンタウンのLCBOで開催した。ジェトロトロントは、カナダにおける新たな日本酒拡大可能性の高い都市の一つとしてオタワをターゲットに定め、同所として初めてオタワで日本酒セミナーを開催した。
オタワのフードシーンをリードするシェフやソムリエが参加
セミナー冒頭、在カナダ日本国大使館石兼公博特命全権大使は、日本酒、日本食品の輸出は年々増加しており、日本からカナダへの食品輸出額も、約100億円と増加し、日本政府としても、日本酒を含めた日本産食品の輸出促進に力を入れていること、また、今回のセミナーでは、公邸料理人の奥村シェフがオタワで購入できる食材を使用して5つの基本味覚に焦点を当てたメニューを準備したので、サンプルで用意した日本酒を合わせてペアリングを楽しんでほしいと述べた。
そして今回のセミナーにはオタワのフードシーンを代表する高級レストランのシェフやオーナー、著名ソムリエに参加していただいているので、今後のビジネスにぜひ日本酒を活用してほしいと挨拶を締めくくった。
オタワ現地で購入できる食材を用いて、日本酒との相性を最大限引き出すペアリング料理を提供
Sake Institute of OntarioのPresident(当時)、小澤彰太郎氏は“Exploring Sake and its Dialogue with Food”と題した講演で、日本酒の原料となる水、米、麹菌、酵母について説明し、特に日本酒の成分の8割を占める水が、日本のどのような気候風土でもたらされるものなのか、また酒米と普通の米との違いなどについて分かりやすく説明した。
そして、大吟醸や吟醸、純米などの日本酒の種類、にごり、生、原酒、発泡など様々なスタイルの日本酒があることを、テイスティング用に用意された5種類の日本酒とともに、 5つの味覚(酸味、甘味、苦味、塩味、旨味)と日本酒の相性について解説した。テイスティングでは、在オタワ日本大使館の公邸料理人を務める奥村シェフが、現地で購入できる食材でそれぞれの味覚を表現する5種類の料理を提供し、参加者は日本酒と料理を味わいながら講師の説明に聞き入っていた。
参加者からは、Q&Aで「どのくらいの温度で飲むのが適しているのか」、「日本に酒米は何種類くらいあるのか」、「酒米はコメの生産量の何%くらいを占めるのか」、「どのような水が日本酒醸造にてきしているのか」など、多岐にわたる質問が寄せられ、講師が分かりやすく回答した。
また、今回サンプルとして提供された日本酒の一つ「獺祭」の蔵元である旭酒造株式会社の海外戦略部米国事業部長の熊谷隆治氏が、獺祭の製造や、米国で新たに工場設立を準備していることなど、北米での事業展開についての説明も行われた。
最後にジェトロトロント事務所の酒井所長は、2017年は日本からカナダに輸出された日本酒が、約4億8,600万円、数量では約751キロリットルを記録し、金額ベースで対前年比28%、数量ベースで30%の伸びを示し、数量ベースでは日本にとってカナダは6番目の日本酒輸出相手国となっていると説明し、引き続きジェトロは日本酒の輸出促進のための事業を行っていくと抱負を語り、大盛況の中セミナーが終了した。