(06/2024)日本食の力と担い手たちの未来

カナダにおける「日本食」は多種多様なレストランの誕生、日本食材の輸出増、訪日観光客の増加、インフルエンサーやSNSなど新しい発信によって、その人気や浸透ぶりは読者の皆さんもご存知のとおりである。
 
一方で、いまカナダの日本食レストランで働くシェフが永住権をなかなか取れない現状がある。インフレや住宅問題などの移民増加による弊害などが問題視され、積極的に移民を受け入れてきたカナダも移民政策の内容を厳しくしていることが背景にある。
 
国内における日本食レストランの礎を築いてきた飲食店の後継者問題だけでなく、「日本食」の技術や知識、文化を伝えていく料理人とその担い手になる人材がこのままでは減り続ける将来にいま危機感を覚えている。
 
政治・経済・ビジネス・文化、どれをとっても日本とカナダは大変良好な関係を築いている。日加にとって外交の発展にも貴重な役割を果たす「日本食」。カナダにおける「日本食」がどのような力を持っているか、そしてその担い手が現状抱えている問題と、どのような突破口があるかを考えていきたい。