2021年の不動産マーケット|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第39回 】
コロナ禍での状況が1年以上続いていますが、今年の不動産マーケットは前年に引き続き戸建て住宅の売買を中心に回復を続け、今年2月には不動産平均価格が初めて100万ドルを超えました。4月における戸建て住宅の不動産平均価格は前年同月比36~44%とバブルのような活況を呈しています。
その一方で賃貸マーケットは、供給過多な市内のコンドミニアムと需要過多の郊外の戸建て・タウンハウスと二極化した状況が続いています。トロント不動産協会(Toronto Real Estate Board=TREB)の報告によれば、2021年第1四半期の賃貸マーケットは、賃貸物件募集件数は大幅増加(前年同期比78%アップ)し、実際の賃貸案件成約数も大幅増加(前年同期比81%アップ)しました。バチェラー(ワンルームタイプ)、1BR、2BR、3BRのいずれの部屋タイプも平均賃料は前年同月比12~23%下がっていますが、取引数は75~83%と大幅増加しました(図1)。
また、実際の成約結果によるコンドミニアムを中心としたアパートメント物件の平均賃料と成約数は図2の結果となっています。
賃貸募集物件の増加は、昨年9月号でもお話しました通り、州外や国外からの人口移動規制により、ダウンタウンのコンドミニアムを中心として賃貸物件は供給過多であることが窺われます。「賃料は下がっても構わないからとにかく早く借主を見つけたい」というオーナーの気持ちが平均賃料の減少に見て取れます。トロント市内のダウンタウンを借りる方はまだ借手市場と言えますので、賃料を少し低くしてもらう、入居日を少し先まで待ってもらうなど、とにかく自分の希望をまずはすべて賃貸契約書に書いてオーナーと交渉してみましょう。
一方、ロックダウンやステイホームオーダーが続く中で、より良い住環境とスペースを確保したい、不特定多数の住民のいるコンドミニアムは避けたいと、郊外の戸建てやタウンハウスの賃貸物件のニーズは非常に高まっています。
実際にミシサガ、ニューマーケット、リッチモンドヒル、ノースヨークなどのエリアにおいて、戸建てやタウンハウスの良物件が出てきたら、マーケットに出た翌日に内見が殺到して内見予約が取れなかったり、複数人数がオファーを出してBidding Warと言われる賃料価格つり上げによる取り合いになることもしばしばです。郊外のエリアでお部屋探しをする方は、物件をいくつかまとめて内見しようと待っていたらその間に物件が無くなってしまう可能性も高いです。そのため、気になる物件が出てきたらすぐに1件ずつ見ていく方法をお勧めします。
図3は第1四半期における各地域のコンドミニアムの空室率です。トロントの空室率は1.7%、千件に17件の空室となり、ここ数年ずっと1%以下を保ってきていましたが、異例の高い空室率となっています。北のリッチモンドヒルなどのヨーク地区は0.9%、ミシサガ市のあるピール地区は0.8%と前年同期比に比べると空室率は上がっています。
昨年2020年第1四半期の各地区の空室率を比較すると、Halton地区だけ0.2%と非常に低く、他はトロント地区同様、空室率はアップしており、状況が一旦落ち着いて物件が少しずつ余ってきたのか、新たに購入した投資家がテナント募集している時期であるかなどが考えられます。
またコロナ禍を受けて経済状況が厳しくなり、賃料が支払えなくなってしまったけれど退去を拒否する〝居座りテナント〟のニュースも時々聞くようになりました。そのため、コロナ以降はオーナー審査が以前に比べて厳しくなっているように感じます。
賃貸申し込みを行う際には、可能であれば勤務先より賃料は給与の一部として支払われる旨を記載したLetter of Rent Guarantee、収入見込みが記載されたEmployment Letter、日本や前任地で給与を確かに受け取っていることを示す給与明細(Pay Stub)、銀行残高証明(Bank Statement)など、オーナーを安心させる書類は多い方がオーナー審査が通りやすくなる有効な要素となります。
トロントでは新学期や新生活の始まるサマーシーズンを迎え、不動産マーケットはこれからますます活発になる時期です。郊外や戸建てなど人気の物件は無くなるスピードも速くなる時期ですので、お部屋探しはお早めに!
※弊社では、オンライン内見、自己隔離中の食料調達など各種サポートサービスも承っております。お部屋探しに関する疑問・質問、ご要望についてお気軽にご相談ください!