物件購入に関する流れ|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第56回 】
今回は物件購入に関する主な費用についてお話したいと思います。
購入時にかかる費用
① 物件代金(Sales Price)
買主から売主に支払われる代金。物件の売り出し価格(リスティング価格)は、オーナーがどのように物件を売りたいかに応じて決められています。売り出しの方法は主に次の二つに分かれます。
A.オークション形式
一般に、売主が実際に売りたいと思っている金額よりもかなり下げて売り出しをします。低い価格で売り出して多くの買主からの注意を引き付け、「買付(オファー)の申し込みは〇月〇日〇時まで!」と期限を設けて複数のオファーを募ります。多くのオファーを得ることにより、物件代金をできるかぎり買主同士の間のオークション形式で釣り上げようと期待する方法です。オークション形式の場合、オーナーは自分にとって最も有利なオファーを選びますため、物件代金だけではなく、モルゲージや物件点検などの前提条件が付いていないオファーの方が選ばれる可能性が高くなります。
B.先着順オファー形式
一般に、売主が実際に売りたいと思っている金額より少し高めの金額で売り出しをします。オークション形式とは異なり、買主からのオファーを一つ一つ先着順に受け付けます。この場合、買主はできるかぎり値引きをしようと試みますので、売り出し価格と買付価格に差が生じた場合には、双方間で何度かオファーを行き来して、最終的にお互いが納得する金額に落ち着くケースが多いです。先着順オファー形式の場合、オーナーとじっくり話し合う時間がありますので、モルゲージや物件点検など前提条件を付けた場合でもオファーが通る可能性が高まります。
上記どちらの方法を選ぶのかは、売主であるオーナー次第ですが、マーケット状況が売り手市場の場合には、Aの方法が多くなるのが一般的な傾向です。
② 不動産取得税(Land Transfer Tax)
トロント市の物件を購入した場合、トロント市とオンタリオ州と両方に不動産取得税を支払う必要があります。州と市への税金は同じ金額ですが、一般に物件代金の2~4%程度かかります(課税方法は物件代金によって異なります)。また、初めて物件を購入する人(First Home Buyer)の場合には割引があります。
– オンタリオ州への不動産取得税:1万6475ドル
– トロント市への不動産取得税:1万6475ドル
– First Home Buyer割引:8475ドル
– 合計課税金額:2万4475ドル
不動産取得税に関するサイト(Ontario)
www.ontario.ca/document/land-transfer-tax/calculating-land-transfer-tax
③ 外国人不動産取得税 (Non-Resident Speculation Tax)
カナダ市民および永住権保有者以外の外国人または外国法人が物件購入する場合、いわゆる外国人不動産取得税がかかります。
– オンタリオ州への不動産取得税:1万6475ドル
– トロント市への不動産取得税:1万6475ドル
– 外国人不動産取得税:20万ドル
– 合計課税金額:23万2950ドル
外国人不動産取得税に関するサイト(Ontario)
www.ontario.ca/document/land-transfer-tax/non-resident-speculation-tax
④ 弁護士費用(Legal Fee)
売主および買主双方に弁護士が入り、物件の名義変更手続きと代金のやりとりを担当します。弁護士費用にはリーガルフィーの他、名義変更に際するタイトルサーチ費用や政府手続きの実費なども含まれます。物件に応じる場合もありますが、弁護士費用は一般に2000ドル~2500ドル程度です。
⑤ モルゲージ手続き費用(Closing Cost for Mortgage)
モルゲージ(住宅ローン)を組んで物件を購入する場合、クロージングコストとして費用がかかります。一般に物件代金の1%程度となります。
保有時にかかる費用
⑥ 固定資産税(Property Tax)
物件の固定資産評価額によって決まります。新築物件で固定資産評価額が未定の場合、初年度の固定資産税は低くなる可能性がありますが翌年に調整されるケースが多いです。固定資産税は毎年1月と7月に請求書が発行され、3~5月、9~11月の支払期日が設けられています。
⑦ 管理費(Maintenance Fee)
コンドミニアムを購入した場合、毎月の管理費がかかり、毎月建物のマネージメントオフィスに支払います。管理費には、管理会社の方が管轄している光熱費、ビル保険、駐車場代などが含まれ、部屋の面積に応じて決まります。管理会社や管理方針によって管理費は変更します。一般に築年数の古い物件は今後の共有部分における大規模修繕費用の積立分なども計上されるため、管理費が高くなるケースが多いです。管理費はモルゲージを組む際には大事な要素になりますのでご留意ください。
売却時にかかる費用
⑧ 仲介手数料(Agent Commission Fee)
物件購入の際には仲介手数料はかかりませんが、売却時には仲介手数料の支払いが生じます。通常、仲介手数料は物件代金の5%+HSTで、これを売主および買主の不動産エージェントが折半します。
⑨ キャピタルゲイン税(Capital Gain Tax)
売却した物件が投資用であった場合、キャピタルゲイン税の課税対象となります。一般に購入時と売却時の差額分の50%が課税対象となります。課税対象金額は、購入時と売却時の差額、自分の収入金額、売却関連費用、控除可能金額等を勘案して実際の納税金額が決まります。売却した物件が自分の主な住居(Primary Residence)と認められる場合、キャピタルゲイン税の課税対象にはなりません。
⑩ 弁護士費用(Legal Fee)
物件購入時と同様、売却時には売主側として弁護士が必要になります。
キャピタルゲイン税に関するサイト(CRA)
www.canada.ca/en/services/taxes/income-tax.html
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