買主にとっての売買契約の要点|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第66回】
昨年来モルゲージ(住宅ローン)の金利が随時上がり、物件購入を考える方にとっては難しい状況が続いているかと思います。
しかし一方で毎月のローンの支払いが大変で物件を売りに出すオーナーが増えているのも現状ですので、資金繰りができれば買主にとってチャンスな時期到来とも言えるかと思います。
今回は、買主にとっての住宅売買契約におけるポイントについてお話したいと思います。
買主にとってのポイント
①オファー金額に上限を設ける
物件の売り出し方法は、①オファー期日を設けたオークション形式、②期日を設けない先着順形式の大きく2つに分かれます。
オークション形式の場合、何名によるオファー(買付)が入ったかは知らされますが、他のオファーの金額は教えてもらうことができません。
通常オーナーはオファー期日までに集まったオファー全てを検討し、自分にとって一番いいオファーを選びます。オファー金額を提示することができるチャンスは1回となりますため、「自分としては最高金額としてここまでは出してもいい」という上限金額を提示する必要があります。
一方、期日を設けない先着順形式の場合、最初は通常、売り出し価格よりも低い「自分としてはこのくらいの金額だったら嬉しい」という金額でオファーを出します。オーナーもボトムラインの金額がありますので、双方に何度かカウンターオファーとしてやりとりを得た後、妥協できる金額で取引が成立するケースがほとんどです。
場合によっては何度やりとりをしても妥協点に到達しないケースもあります。オーナーのボトムラインはどのくらいなのか、自分のエージェントを通じてオーナーエージェントに事前に打診することも必要です。
また現在の状況を鑑みますと、「本当に物件を売りたい」というオーナーは多いと思いますので、あきらめずに交渉することが大事かと思います。
②条件を明記する
売買契約が成立し、クロージング(決済日)までにどのような条件を設定しておく必要あるのかはとても重要です。物件を購入する際にモルゲージ(住宅ローン)を組んで購入される方も多いと思います。昨年来、モルゲージの金利は随時上がっていますので、当初予定していたローンが組めず最終審査が通らなかった、という可能性もゼロではありません。
また物件購入後に改装を予定している場合には、自分が希望する使用目的に対して市当局やゾーニングで許可が下りるのか事前に確認する必要あります。
コンドミニアムを購入される場合にはペットの飼育制限や最低賃貸期間などのコンドミニアムルールや、購入予定のコンドミニアムの財政状況を事前に確認することが必要です。
主な条件としては、①コンドミニアムサーティフィケイトの確認(コンドミニアムの場合)、②ホームインスペクションによる確認、③ゾーニングや市当局への建築許可の確認、④モルゲージの本審査合格、などがあります。
状況や希望に応じて条件を設定し、契約書に明記した期日までにそうした条件を満たすかどうかの確認をしましょう。もし条件を満たすことができない場合、期日内であれば仮成立した売買契約を撤回し、デポジット金額を全額回収することができるよう契約書に明記しておくことが必要です。
しかし条件が多いほど売主にとっては、契約が仮成立しても途中でやめられてしまう可能性のある相手になりますので、オークション形式での購入の場合には条件付きオファーは不利になるケースも少なくありません。その場合、条件をできるかぎり少なく記載することができるよう事前の確認を進めましょう。
③資金繰りを確認する
前述の通り、現在カナダ政府によるモルゲージ金利は上昇の一途を辿っています。近日中に下がる気配はなく、このまま一体何%まで上がってしまうの?と懸念されるところです。
銀行で予備審査を受けておおよその借り入れ金額を確認した上で物件選びを始める方がほとんどかと思いますが、数か月前の予備審査で言われた借入金額が後日変更してしまう可能性も高いため、融資担当者やモルゲージオフィサーとはこまめに連絡をとりながら、最新の状況に応じた自分の資金を確認するようにしましょう。
現在、「購入時は良かったのに今の高い金利では毎月のローンを返済できない」という人が増えています。せっかく買って住んでいる物件を泣く泣く手放さなくてはならない、というケースも生じます。できるかぎり将来を見据えたローンと予算を組むことをお勧めします。
また、物件購入後はローンの返済金額に加えて、固定資産税、毎月の管理費(コンドミニアムの場合)、保険料などの支払いも必要となります。投資物件として購入する場合、貸出しても賃料よりもそれらランニングコストが上回ってしまいマイナスフローにならないよう十分に検討しましょう。
④物件設備を確認する
売買契約書に記載された、物件設備がきちんと備わっていて機能しているかを確認することが大事です。
一般に「AS IS CONDITION(現状引き渡し)」が基本ですが、空調系統、電気系統、配管系統は修理費用が大きくかかる可能性が高いため事前に確認することが大事です。
また家電や照明、湯沸かし器なども決済日までに正常に作動することを確認しましょう。不具合を発見した場合、弁護士を通じて売主側と協議してもらい、物件購入価格からそれら修理予想費用を差し引くなどで対応するケースが多いです。
クロージングが終わってしまったらそれら不具合について異議を申し立てることが難しくなる可能性もありますので、クロージングの数日前に必ず最終点検を行うようにしましょう。
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