賃貸契約におけるテナントの権利と責任|そこが知りたい!不動産のプロが教える賢いカナダライフ【第79回】
今回は、賃貸契約におけるテナント(借主)の権利と責任についてお話したいと思います。
オンタリオ州におけるほとんどの賃貸契約は、Residential Tenancies Act(RTA)に基づいています。RTAはオーナー(貸主)とテナント(借主)の間の関係を管理するものであり、テナントの権利と責任について定めています。(RTAの詳細はこちら:https://www.ontario.ca/laws/statute/06r17)
テナントの権利と責任についてはオンタリオ州書式賃貸契約書(Ontario Residential Tenancy Agreement)に記載されています。
たとえ賃貸契約が存在しない場合においても、RTAに基づいて借主の権利と義務は定められています。
賃貸契約の更新
1年など固定期間(Fixed Term)による賃貸契約を結んだ場合、当初の賃貸契約期間の最終日(満期日)をもってテナントは退去または継続的に住むための新たな契約にサインをしなければいけない、という訳ではありません。満期日が過ぎてしまった際も新たな書面を取り交わして契約更新する必要はなく、自動的にマンスリー契約に切り替わります。また双方の同意のもと、新たな固定期間による契約を結ぶこともできます。
契約の解除
固定期間の場合は満期日60日前までに、マンスリー契約の場合は賃貸サイクル最終日の60日前までに通知すれば契約を解除することができます。固定期間において契約に特に定めがある場合を除き早期解約はできませんのでご留意ください。
賃料アップ
賃貸契約期間において、オーナーは12か月毎に賃料をアップすることができます。賃料の上昇率は政府規定に基づき、オーナーは賃料をアップする際には少なくても90日前までに書面によってテナントに通知しなければなりません。2025年の賃料アップの上限は2024年と同じく2.5%と発表されました。
賃料ダウン
テナントは次の場合においてオーナーへ賃料の減額を求めることができます。
- 固定資産税が下がった場合
- オーナーが賃料の減額無しにサービスを停止または減少させた場合
- オーナーが賃料アップに関する契約書の定めに従わなかった場合
賃料の支払い
テナントは契約に定められた賃料金額を支払い期日までに支払う責任があります。賃料を支払わない場合、オーナーはテナントへ賃貸契約終了の通知を行うことができます。テナントは現在の住居のオーナーに対して、または退去後12か月以内においては前の住居のオーナーに対して、自分の支払った賃料についてレシートの発行を求めることができます。
デポジットの支払い
テナントはオーナーに対して賃貸契約期間における最終月の賃料(Last month deposit)および鍵の保証金(Key Deposit)を支払う必要があります。
部屋のメンテナンスと修理
借りた部屋を綺麗に使用する責任があります。テナント自身または同居人、あるいは招いたゲストが、不注意や過失により部屋にダメージを与えた場合、この修理について全責任を負います(経年劣化によるダメージを除きます)。
鍵の交換
テナントはオーナーの同意なしに勝手に部屋の鍵を変えることはできません。
名義変更およびサブリース
テナントは自身が住むことができない事態が生じた場合、オーナーの同意を得て部屋を他者に名義変更したり、サブリースすることができます。テナントがサブリースをする場合、オーナーが受領する賃料金額以上の金額や追加費用をサブリース相手に求めることはできません。
ゲストの滞在
テナントはゲストを部屋に滞在させることができます(オーナーに伝え同意を得た方が望しいです)。短期賃貸物件として部屋全部を他者に貸す場合、ゲストとは呼ばず、オーナーの同意無しにそうした短期賃貸物件として貸し出すことはできません。
ペットによる強制退去
契約に明確な定めがある場合を除いて、ペットを飼っているという理由で強制退去されられることはありません(そのペットが危険動物であったり、騒音がひどかったり、部屋に損害を与えている場合等を除きます)。ただし、ペット飼育についてはコンドミニアムルールがより強い拘束力を持ち適応されるケースもありますのでご留意ください。
室温の保持
9月1日~6月15日の期間において、オーナーは室温を20℃以上に保つ責任があります。暖房の故障等により部屋の温度が20℃またはそれ以上を保つことができない場合、テナントはオーナーに対して早急の修理またはポータブルヒーターなどの代替品を求めることができます。
ハラスメント
テナントがオーナーからハラスメントを受けた場合、The Landload and Tenant Board(LTB)に訴えることができます。
喫煙
テナントが他の部屋の住民の喫煙により自分の健康や安定した生活が脅かされる場合、LTBに相談する前にオーナーへ訴える必要があります。
一酸化炭素警報器
テナントは部屋に設置された一酸化炭素警報器を買ってに取り外してはならず、正常に作動しない場合には速やかにオーナーへ通知する必要があります。
The Landload and Tenant Board(LTB)
テナントとオーナーの間で問題が生じ、どうしても解決できない場合には、両者間の仲裁機関である「The Landload and Tenat Board(LTB)」に訴えることになります。「大家からこんなことを言われたんだけど納得できないので確認したい」という場合には、LTBに電話やメール等にて確認してみるのも有効な方法です。
TEL:1-888-332-3234
416-645-8080
月~金8:30-17:00
LTBの各オフィスの所在地、メールアドレス、電話番号については、こちらをご覧
ください。http://www.sjto.gov.on.ca/ltb/contact/
テナントの権利と責任についてよく理解し、快適な賃貸ライフを過ごしましょう!
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出典:https://www.toronto.ca/