第38回 時代はMMF!? カナダ株なんて、おやめなさい!?|みらいのカナダ株式投資大作戦
今回は「カナダ株なんて、おやめなさい」ってお話をしますね。「カナダ株のコラムなのにいったい何を言ってるの…」って感じですが、X(Twitter)で見たところでは、最近のカナダ株は世界市場と比べてパフォーマンスが悪め。元気のない状態が続いています。
そこで、「カナダ株とは違った熱い資産に目を向けてみよう」というのが今回のテーマ。
ただし、最初に述べておきます。最終的に勝つのはカナダ株です。今回紹介する資産はあくまで一時的、今だけ強いのです。
最後に勝つのはカナダ株。忘れないでくださいね!では、一緒にみていきましょう!
魅力的な利回りになった「マネーマーケットファンド(MMF)」
今回紹介するには「マネーマーケットファンド(MMF)」です。MMFは、きわめて安全性の高い債券で運用する投資信託の一種です。
カナダも同様だと思いますが、MMFには元本割れがほぼありません(少なくとも日本と米国ではそうです。元本保証ではない点に注意してください)。そのため、利回りのよい定期預金のような感覚で使えます。
今、MMFの話題を出したのは、その利回りの良さ。
例えば、RBC Canadian Money Market Fundの利回りは4.7%、TD Canadian Money Market Fundの利回りは4.76%(2023年8月時点)。めっちゃ魅力的ですよね!
ちょっと考えてみてくださいな。
例えば、VDY(Vanguard FTSE Canadian High Dividend Yield Index ETF)の分配金利回りが4.71%です。でも、VDYは株式に投資するETFですから、相場に応じて大きく値動きします。
一方、MMFはほぼ元本割れがなく、分配金利回り4.7%です。
この状況でVDYを買いたいと思いますか?たぶん思わないですよね。
というのが、株価が上がりにくくなっている遠因でもあります。わざわざ株式のリスクを取らなくてもいいんですよね。
なぜMMFが魅力的に?
では、なぜMMFが魅力的になったのでしょう。それは、近年の歴史的なインフレと、インフレ退治のためにカナダ中央銀行が行ってきた金融政策(利上げ)の影響が考えられます。
2020年、コロナの恐怖が世界を覆っていた頃、カナダ1年国債の利回りは0.1~0.2%ほどでした。
ですが、コロナの恐怖も薄らぎ、世界的なインフレが懸念される中で利上げが繰り返された結果、2023年8月時点の利回りはなんと5.31%にも。
これに合わせてMMFの利回りも上昇してきたのです。
MMFにはどんな商品があるの?
では、ざっくり具体的な商品についても見ていきましょ。
例えば、RBC Canadian Money Market Fundは資産の65.5%をコマーシャルペーパー(CP。信用のある企業が、短期の資金調達目的で発行する約束手形)に投資しています。
主な構成銘柄リストを見ると、例えば「Bank of Nova Scotia 5.175% Mar 28, 2024」のようにカナダの有名企業のリスト(日付は償還日)が並びます。年間の運用コストは0.27%です。
また、TD Canadian Money Market Fundもコマーシャルペーパーなどに投資しています。保有銘柄には「Toyota Credit Canada Inc. 5.020% Aug 8, 2023」というのもありますね。年間の運用コストは0.29%です。
MMFごとにコストや投資銘柄の違いはありますが、大局的にはどのMMFを選んでも似たような成績になります。もし、あなたがMMFに関心を持ったら、お使いの金融機関でコスト安めの商品を探してみてください。
でも、最後に勝つのはカナダ株です
と、今はすごくすごく魅力的なMMFですが、このセリフを忘れないでください。
「最後に勝つのはカナダ株です」
長い歴史の多くの時間で、株式は債券を上回る成績を出し続けてきました。そのトレンドはきっとこれからも変わらないはずです。