カナダ トロントに再訪 東日本大震災被災児童自立支援プロジェクト Support Our Kids~ひとりじゃないよ~ 文化交流プログラム@日系文化会館
Support Our Kidsとは?
2011年に「東日本大震災被災児童の自立支援」、「復興のリーダー育成」を目的として発足された団体・プロジェクトである。カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどを含む、世界11か国の大使館や外務省と連携し「海外ホームステイを通した被災児の自立心育成活動」をはじめ、これまでも数多くのチャリティーイベントやチャリティーオークションなどを実施している。これまでに海外に渡った子ども達は342名を数え(2017年3月現在)、ひとりでも多くの子ども達が自らの手で明るい未来を切り拓いていけるようにと、震災から10年間、2020年まで活動を継続していく。
2011年3月11日に発生した東日本大震災より6年。徐々に復興に向かいつつも未だ震災の傷跡が深く残る東北。Support Our Kids(以下SOK)では、被災した子ども達の自立を支援しようと毎年サマーキャンプ&ホームステイとしてトロントへの招致を行っており、6回目となる今年も8人の子ども達がここトロントへ招待された。
子ども達を歓迎するかのような晴天に恵まれた8月20日、日系文化会館にて様々な交流イベントが行われた。まず初めは日系カナダ人の歴史についての勉強から。第二次世界大戦中の強制収容所での苦しい生活など実際にその時代を生き抜いてきた柴谷ケオさん、ジーン・フジモトさんの貴重な体験談を交えながら年表をもとに勉強し、熱心に話を聞く子どもたちの姿が見られた。その後、小林ホールにて今回プログラムに参加した一人の千葉るかさんによる津軽手踊りが、同日行われていた映画鑑賞会のオープニングイベントとして披露された。千葉さんは被災後も踊っているときは楽しかったと話し、苦しい環境に置かれながらも練習を続けた見事な津軽手踊りを披露すると、会場は温かい大きな拍手で包まれた。
続いて東北とカナダに住む子ども達による子供フォーラムでは、英語でのプレゼンテーションとディスカッションが行われた。日本から持ち寄った写真や資料などを用いて、震災当時の様子や各々の体験談、また東北の誇るべき文化や名産品などを一生懸命に発表した東北の子ども達。津波によって家族や友達、家が失われてしまった悲痛な事実、避難所での生活の様子、原発事故による目に見えない恐怖などについて語られると、カナダに住む子ども達の中には涙ながらに話を聞く子の姿も見られた。
また先に学んだ日系カナダ人の歴史についてのディスカッションも行われ、「第二次世界大戦時、日系カナダ人が強制収容所での生活を虐げられた際に持参できた荷物はキャリーバッグ1つのみ。みなさんなら何を詰めて持っていきますか?目に見えなくてもこれだけは大事にしたいものは?」という質問が代表のチャコ瀬戸山氏より投げかけられ、子ども達からは「家族や友達との写真」、「洋服などの生活必需品」、「思いやり」、「友情」、「家族との愛情」、「思い出」など様々な回答が述べられた。それらの回答に込められた家族や友達を大切に想う気持ちは皆同じであり、日本とカナダ、住む場所は離れていても心で思うことは一緒であるということが強く感じられた。
そして、この日のビッグイベントであった『赤毛のアン』映画鑑賞会のために日系文化会館を訪れた主演女優エラ・バレンタインさん、ダイアナ役のジュリア・ラロンドさんとの交流会が行われた。子どもたちはポスターやTシャツにサインをもらい笑顔で写真撮影を楽しんだ。SOKトロントの実行委員長であるチャコ瀬戸山氏は映画上映前挨拶にて、次のように語った。
「今日ここでSupport Our Kidsプロジェクトを紹介できることを大変嬉しく思います。震災の数か月後ニュージーランドに被災した子どもたちが招待されて以降、アメリカ・オーストラリア・フランスなど様々な国に広がっていきました。ここトロントで私たちが活動を続けてこれたのは、ホームステイファミリーの皆さんやトロント・ロータリークラブ・フォレストヒルなど各団体より支えてくださる皆様、たくさんのボランティアスタッフと日系文化会館のご協力のおかげです。このような好機をいただき本当にありがとうございます。」
現時点で2020年まで続いていくことが決定されているSOKプログラム。今後も子ども達が海外での経験を通して、これから広がる未来への希望を胸に、一歩ずつ前に進んでいってくれることを願う。
SOK参加者からの声
柳澤錬さん
第二次世界大戦時の話、チャコさんや現地校の人とのセッションなどいろんな人と話をすることで自分の知らなかったことをたくさん知れたことは、すごくいい経験になったと思います。将来外交官という職業を目指しているのでそのためにも、今回カナダで学んだことを日々のコミュニケーションの中で活かしていけたらなと思います。
長峰希来々さん
いままで日系カナダ人の歴史などは知らなかったので、今日学ぶことができ、とてもいい機会になりました。ディスカッションでは現地の学生さんとは国が違っても考えていることが似ていたり、みんな思っていることは一緒だなと思いました。今日学んだことをこれからの生活に活かしていきたいです。
SOKトロント連絡先:Chako Setoyama
info@chako-setoyama.com
www.chako-setoyama.com