被災した東北に復興の灯火を Support Our Kids 2016
2011年3月11日に発生した、日本を震撼させた東北大震災から5年の月日が流れた。徐々に復興の兆しを見せているが、震災が人々の心に残した傷跡は計り知れない。2011年より設立された支援団体Support Our Kids (以下SOK)では、毎年震災の足跡が深く残る地に住んでいた子供たちに活気をつけてもらおうとトロントに招待しており、今年は8人の子供達がトロントを訪れた。
今年で5回目となるこのプログラムは、夏真っ盛りの8月2日に子供たちを迎えた。約2週間のホームスティとともに、ナイアガラ観光やサマーキャンプなどを体験した。さらにトロント市庁舎を訪問し、トロント市庁舎の構造や歴史、議会のシステムの説明を受けた他、Michael Thompson議員やMary-Margaret Mcmahon議員を始めとする市議との交流会が行われた。
子供たちをトロント市庁舎に招き歓迎したThompson議員は交流会の中で、「日本の若い世代をトロントに招くことが出来たことをとても嬉しく思います。私たちは若い世代により良い世界を残していかなければなりません。その一端として、あなた方のような素晴らしい生徒をトロントに招くことが出来たことはとても貴重な機会となります。今後また皆さんと交流できる機会を持てることを楽しみにしています。」と述べた。
交流会の終盤には、生徒8名による英語でのスピーチが行われ、スケッチブックや写真を用いて、東日本大震災の当時の様子や現在の状況を伝えた。当時の荒れ果ててしまった東北の様子や風評被害による差別を受けた経験、そして復興の象徴として再建築を果たした水族館、少しずつ復興を果たしている東北の街や人々の様子を力強く話していた。スピーチの最後には、8名全員でソーラン節を披露し、プログラムや交流会への感謝の気持ちを表していた。
SOK in Toronto実行委員長瀬戸山久子氏は弊誌の取材の中で、震災直後では自分たちに起こったことが受け止めきれず、内に篭ってしまう子供たちが多かったが、5年の月日を経て、ようやく自分たちの心の整理がつき、過去の震災の体験や自分たちの心の内側を話せるようになってきていると感じた、と、5年間SOKプログラムを通して見守り続けた、被災した子供たちの変化について述べてくれた。
また、「日本にいるだけでは経験できないことを子供たちにトロントで体験して欲しいと思います。5年の時を経て、震災が徐々に風化されつつある中でも、自分たちのためにたくさんの人たちが色々な支援をしてくれることに子供たちは驚きます。その支えられている、愛されていると思える気持ちが心の灯火になって、子供たちの将来の中で大きな支えになってくれると信じています。」と語った。
交流会終了後、トロントに今回初めて訪れたという生徒たちは、「トロントは日本と比べ気候が涼しく、湿度もあまり感じないため過ごしやすい。」「街と自然が融合している素敵な都市」と笑顔で語ってくれた。また、「5年経って、少しずつ街も明るくなっています。街の様子も人の心もだいぶ治ってきて、みんな前を向いていこうという気持ちが強くなっています。トロントを初めとするたくさんの人たちのおかげで前に進んでいると思います。」と、現在の心境を語ってくれた。