寿司幽玄のオープニング記念。銀座の寿司の名店「はっこく」の店主、佐藤博之氏によるテイスティング・イベント|食の編集部食べ歩きシリーズ
寿司幽玄のオープニングを記念して東京・銀座からもっとも予約が取れにくい鮨屋として知られる「はっこく」の佐藤親方によるテイスティング・イベントの模様を紹介する。
はっこく×寿司幽玄
寿司幽玄のオープニングを記念して親交のある銀座の寿司の名店「はっこく」の店主、佐藤博之氏によるテイスティング・イベントが開催された。「はっこく」といえば、銀座で予約困難な寿司屋として知られ、握りのみ25貫を提供する独自のスタイルを貫くことでも話題の名店だ。
当日は、「はっこく」の名物ともいわれる1匹のマグロからわずかしか取れない頭の付け根部分を赤酢のシャリの海苔で巻いた「突先」からコースがスタート。初体験の味わいは半熟イクラの寿司。濃厚な味わいに仕上げられた半熟状態のイクラ。まるでバターの様なコクで口の中でとろける一品だった。
マグロの仲卸で日本一と言われる「やま幸」との親交がある佐藤さんの代名詞ともなっているマグロと赤酢のシャリの握りは中盤に3貫つづけて提供され、パンチのある一貫一貫に来店客はその独特なバランスに舌鼓を打った。〆のクリームブリュレのようなしっとり感と濃厚さ溢れる玉子にも多くの人が感嘆の声を上げていた。
はっこく店主 佐藤博之さん
―実家も寿司屋だったという佐藤さんですが、今の握りのみで勝負するスタイルに辿り着いたのはどんな経緯があったのでしょう?
これから変わるかもしれないですが、その時その時によって考え方や物の見方が変わってきていると思っています。今のスタイルに辿り着いたのは、私たちは寿司屋なんだから寿司を食べてもらいたいと思い、握りをメインでお出しするようになりました。
お客さん目線で考えた時に、自分がお客さんだったらその店に行った時にどんな料理を出してもらいたいか、どんな体験をしたいかを考えてみました。昔はおつまみを出したりもしていたのですが、どこかで考えが変わったのでしょう。もし寿司屋に行くのであれば、やっぱり寿司を食べたいですよね。
―短い滞在時間ですが、カナダの食材はいかがですか?例えば、カナダ産の天然本マグロなどは評価が高い印象です。
日本にもたくさん入ってきています。印象としては脂が強いと感じています。冷たい海で育ち、脂の多いニシンなどを食べて育っているからでしょう。日本産のマグロの方が全て良いというわけでなく、脂のない変なマグロよりはカナダ産のマグロの方が美味しいと思います。ただ、僕は好みの赤酢のシャリに合うマグロを常に探して今のマグロに行き着いています。
―カナダではミシュランの星に数多くの日本食レストランが選ばれています。寿司や和食に限らず、日本食文化や日本食材が正しく海外に伝わっていくことに必要だと思うことは何だと思いますか?
ずばり、職人の技術ではないでしょうか。「はっこく」でも海外からの研修生を受け入れたりしているのですが、本物を知ってもらうためには本場の現場で修行するのが良いと思います。私たちが食材を持ってきて海外でイベントをやったとしても限られた日数の中ではどうしても伝えきれません。日本の食材が良いのは当然なのですが、海外ですと持ってこれるものと持ってこれない食材もあります。そこで活きてくるのが職人の腕です。目利きにしろ、技術にしろ、しっかり勉強し本場での経験を活かしていくことが大事でしょう。
テイスティング・イベントコースメニュー
Sushi Yūgen
150 York St, Toronto | 416-363-1888 | sushiyugen.ca
Tuesday to Saturday
12:00pm to 3:00pm | 5:00pm to 10:00pm
【Main Counter】
Lunch $80 per person | 45 minutes dining
Dinner $98 per person | 1 hour dining
【Chef’s Counter】
$275 per person | 2 hours dining
Wednesday to Saturday
1st Seating: 6:00pm | 2nd Seating: 8:30pm