カナダを代表するセレブシェフ 「Lee Restaurant」 Susur Lee氏 日本食を探る旅
カナダを代表する一流シェフが見た日本食&食材の可能性
3月13日Lee RestaurantにてSusur Lee Journey to Japanが開催された。本イベントは日本政府観光局(以下、JNTO)とエアカナダ、そしてカナダを代表するセレブシェフSusur Lee氏がパートナーとなり実現した。
昨年リー氏は日本を訪れ、日本人シェフと会ったり、共に料理をしたり、築地市場を訪れたりすることで日本食材の可能性を探り、それをいかにトロントで活用するかを模索する食の旅に出た。
本イベントでは実際にリー氏が、日本での体験について語るとともに、日本滞在中に得たインスピレーションを元に作られたメニューが紹介された。
リー氏のシグニチャー料理であり、シンガポールで旧正月に食べる“Singapore Slaw”が振舞われるとともに、今回の旅でインスピレーションを得て作られた“Mandarine Sunrise”と名付けられたカクテルや東京の地ビール“Kagua”そして日本酒も提供された。
また、グラミー賞にノミネートされたこともあるトロント出身のフルート奏者のRon Korb氏による演奏もあり、美しい音色と美味しい料理が振舞われた賑やかなイベントとなった。Korb氏は先住民族が使っていた笛や尺八などの様々な笛楽器を使い、中国のメロディーを和楽器でリー氏のレストランに合わせてフュージョン演奏を披露した。
イベントの最後ではエアカナダの提供によって日本行きの往復チケットを懸けた抽選が行われ、当選した女性はリー氏が日本を旅した映像を見て、これから更に日本に行くことが楽しみになったと語ってくれた。
リー氏の考える日本料理の鍵、それはハーモニー
リー氏は、2005年に愛知県で開催された日本国際博覧会の参加をきっかけに、日本の文化や食、人について知りたいと考えたことが今回の訪日に繋がった。博覧会ではメープルシロップやワイルドベリーなどを使ったカナダ料理を世界に紹介した。その一方で、出会ったシェフや日本食材関係者などから、日本食について知りたいことなどを解説してもらって、更に日本食に興味を持つようになったという。
今回の旅では日本食はハーモニーが重要であることに気が付いたという。出される食事は懐石料理のようにすべてが小さく、その小ささとは謙虚さを表していることに気が付いたと語った。旅の途中で出会ったシェフたちと一緒に料理をし、食事をすることで重要なことは食材の見分け方であり、それこそが日本が築き上げてきた食文化だと述べた。
日本酒の繊細さと風味が活かされたPoachedSake Chicken
日本産食材の見極めを知ったリー氏によってこの日振舞われた“Poached Sake Chicken”は、日本酒を用いて作られた渾身の一品だ。調理の際、日本酒の繊細さを踏まえ、風味を活かした調理で、日本酒の甘さや少しの苦みがいいコンビネーションを発揮した料理になったと語った。
食文化の未来について聞かれたリー氏は、近年ファストフードで済ませてしまう人も増えているが、日本食品は出汁のパックをはじめファストフードに頼らずとも簡単に健康的な料理を作ることができると語った。特に、枝豆や豆腐を使った料理は茹でて味を調えるだけで完成するため、これこそが日本のファストフードだと言えるのではないだろうかと述べた。
今年リー氏は「Kid Lee」という新しいコンセプトの店をオープンした。このレストランではオーガニック野菜を使い、多くのベジタリアン料理を提供するという。レストラン業界はたくさんのゴミを出していることが多いため、環境に優しくあることも意識しているそうだ。
リー氏は従業員には食べ物でゴミになりそうなものは捨てる前にそれを使って料理することができないかを考えるように伝えており、それこそがクリエイティビティーの源泉となり、より独創的な料理ができるきっかけになっていくという。
リー氏の料理を通じて日本への観光客増加を狙う
JNTO
中澤秀朗所長
今回リー氏の旅の様子が映像で紹介されましたが、フルバージョンは今年5月からフードチャンネルで放送予定です。撮影はリー氏のインスピレーションが第一に考えられ、築地市場を始め見所満載です。
リー氏のレストランは日本食にインスピレーションを受けている部分が多くありますので、今後もレストランのコンセプトを大事にしながら、日本食材とのフュージョンを創造していってもらいたいと期待しています。
エアカナダ
マーク橋本氏
私たちも今後は東京、大阪、京都などの主要都市だけでなく、他の素晴らしい地方の紹介も行っていくことで、日本に行ったことがある人でも違う場所に行ってみようと思っていただけるようにしていきたいです。
エアカナダは今年の6月1日より、モントリオール – 成田直行便が就航します。これによってケベック州からも日本に興味を持っている観光客も呼び込めるので、さらなる訪日観光客の増加に期待をしています。
エアカナダ
ロッキー・ロー部長
エアカナダにとって日本はとても重要なマーケットであり、夏には1日最大で日本行きのフライトが6便運航しており、トロント、モントリオール、バンクーバー、カルガリーから成田や羽田、そして大阪や名古屋行きの便が出ています。カナダ東海岸から日本への直行便が飛んでいるのはエアカナダのみですので、非常に人気のディスティネーションとなっています。
本日のようなイベントを通して、カナダ人観光客が日本の自然の美しさや素晴らしい景色、そして日本料理を実際に食べたいと思うようになり、さらなる訪日観光客が増えることを期待しています。
編集部「いただきます!」
日本食材をクリエイトしたメニューたちを編集部が食べてみた!
Grilled Octopus
贅沢に蛸をグリルし、その下には山芋が。醤油味のソースを引き締める蛸の上に載っているミョウガが◎
岡田:蛸がすごく大きい!
深川:本当だ、しかもグリルされているのに柔らかくて美味しい。下にあるのはお芋かな?
岡田:山芋だね。日本の優しい煮物の味がする。全体的にかかっているソースは醤油の味がするね。
深川:うん、あと少し酸っぱい感じもするから濃厚なのにさっぱりしているね。
Singapore Slaw
カリっと揚がったタロイモの下には大根やきゅうり、トマトといった野菜がたっぷり。ソースにはピーナッツが入っており、香ばしいかおりが食欲をそそる、リー氏の代名詞ともいえる一品。
深川:きゅうりとかトマトとかいろんな野菜が入っているね!
岡田:私のにはワカメも入ってた。パクチーも入ってるのかな。すごい香り豊か。
深川:うん。このアジアンな感じ、私好きだなぁ。とっても美味しい。
岡田:さすが、代表的なメニューなだけあるね!
Poached Sake Chicken
鶏肉を丁寧に出汁で味付けし、お酒の風味が立つように工夫された一品。鶏肉の下には出汁をたっぷりと吸った大根が日本を思い出させてくれる。
岡田:これ日本にインスピレーション受けたってすごく分かるね。本当に日本が恋しくなる味。上に載ってるネギとショウガのわずかな味がポイントになってるね。
深川:すごく優しい味。鶏肉の下には大根の大根が優しい味で、さっぱりしているからもっと食べたくなっちゃう。
岡田:本当に日本食を食べてる気分。出汁とお酒のバランスがばっちりで、私はこれが一番好きかも。
Warm Mochi
あたたかいお餅の中には甘すぎない小豆がたっぷり入っている。上からは抹茶のソースが掛かっており、添えられたエディブルフラワーがとっても可愛い。
深川:つきたてのお餅みたいに柔らかい。
岡田:本当だ!しかも抹茶のソースが美味しい。中の小豆は結構粒が大きいんだね。
深川:そうだね、しっかり小豆が入ってる。ホワイトチョコのほんのりとした甘さが入っていて良いね。
岡田:うん、ちょうど良い甘さだし、お餅の柔らかさが最高!
Mandarine Sunrise
見た目の華やかさにマッチしたトロピカルなカクテル。マンゴーとみかんの甘みをコップの縁についている紫蘇塩が引き締め、何杯でも飲みたくなってしまう。
深川:見た目、すっごく可愛いね。
岡田:これぞフォトジェニック!だね。あ、これ甘くて飲みやすい!!
深川:底にある紫蘇がまた良い味出してるね。ジュース感覚で飲めちゃう。でも、ジャパニーズ・ウイスキーが入ってるから結構度数高いかもね。
岡田:確かに、危険、危険。でも飲みやすくてごくごく飲んじゃうね。みかんの甘さと紫蘇のしょっぱさが良い感じ。
深川:うん、このグラスの淵についてる紫蘇の塩がまた美味しい。
Kagua
綺麗な黄金色をしたKaguaはベルギービールにインスパイアされた東京の地ビール。ほんのりとした柚子の香りが女性は好きそう。
岡田:このビールすごく爽やかで飲みやすいね!
深川:本当だ。柚子が強すぎなくて、ほんのり風味がするっていうところが良いね。ビールはあまり好きじゃない方とか初心者の方でも美味しく飲めそう。
岡田:うん、そのおかげで飲みやすさが増してるのかな。私、ベルギービール好きなんだけど、ベルギーのビールにインスパイアされているだけあって、結構私の好みかも。