今月のネタ バンクーバー・ アイランド産「活きボタン海老」|トロントの魚屋さんTaro’s Fishで編集長のちょっと立ち話
トロントニアンはしばしば忘れがちだが、バンクーバーに住む人たちにとって初夏のカナダ名物といえば、間違いなく名前が挙がるボタン海老。先月号でも話題に触れ今か今かと入荷を楽しみにしていたので、今月は当然ボタン海老の食レポをお届けします!
これを食べて夏に向かっていく気持ち!
店内に入るとすぐにピチピチ飛び跳ねているボタン海老が目に飛び込んできた。「ブリティッシュコロンビア産の商業漁は、5月中旬ごろから1~2か月間。まさに獲れたて、旬の味がトロントでも味わえるのはこの1~2週間。毎年この時期は、これを食べると、さぁ夏に向かっていくぞ!そんな気持ちになるのがボタン海老だよね」と語るのは太郎さん。
さぁ食べてみて!と用意されたのは、お刺身にお寿司、揚げた頭など。至れり尽くせりの活きボタン海老づくしにカメラを持つ手も震えるほど大興奮。
あっさりとした味わいから次第に甘みが際立ち、口の中に広がる旨み。
ぷりぷりと弾ける食感とトロける感触がたまらない
まだピチピチしているボタン海老は全て20センチ以上という大きさ。見ているだけでわかる鮮度の良さ、口の中で甘くとろけるプリプリの大振りの身は、クセがなく、そのコクはこれまで食べてきた海老の中でも最上級。
「実際バンクーバーでキングサーモン釣りに出かけ、海老を生け捕りにしたことがあるけど、やっぱり小さいのは元気があるけど、大きい方が食べ応えがあるよね。そして生で食べるのが一番。殻だけむいて頭付きのまま刺身にしてもよし、寿司のネタにしても美味しい。それと軽く炙って火を入れても、濃厚な甘みを存分に楽しめる。生のプリプリとした食感から、まろやかな肉厚の身を味わうのもオススメ。アタマは素揚げにしたり味噌汁に入れたりと、色々な料理に応用できるのもボタン海老の魅力だよね」と教えてくれた。
もちろんアタマもいただきます。生のアタマは味噌をズズッと吸い込むと、コクと風味が濃厚でクセになる味わい。さらに素揚げしたアタマはカリカリの殻とじゅわ~と溶け出す味噌のマリアージュが口の中でまったり広がり、あぁ~幸せ!
ボタン海老・豆知識
透明感ある淡いオレンジ色の殻が特徴のボタン海老は、生後4年まですべてオスだが、5年目からすべてメスになり、産卵を控えて1年間抱卵するとのこと。エメラルドグリーンの卵は、プチプチした食感で身と一緒に食べるとこれもまた美味。タラバエビ科に属し、甘みの特徴でもあるとろみは、エサを分解するためのタンパク質分解酵素が、死後に筋肉を自己消化することにより生まれ、これが甘さを引き立てる役目をしているそうだ。
さぁ動き出す。秋山太郎・集大成の店の実現に向けて!
トロントの魚屋さんでもいち早く旬なボタン海老を入荷していた太郎さん。取材中もさっそくボタン海老の注文の電話がかかってきていた。
「じぶんが美味しいと思っているものを多くの人に食べてもらいたいと思っている。ボタン海老に限らず、これまで紹介した太刀魚や金目鯛など、季節に合わせてカナダ産はもちろん、ボストンやフロリダ、ポルトガルやニュージランドなど、良いもの・美味しいものをみなさんに紹介したいんだ」とこの道一筋、25年以上やってきたプライドとフィロソフィーがお店の随所に染み込んでいる。
「そのためにも秋山太郎の集大成として、全てを表現できる魚屋とレストランを兼ねそろえた場所を見つけているところ。これまで以上に喜んでもらえる魚屋と、季節の食材などを使ったフェアなども実現して、美味しい旬の魚介を味わってもらえるようなお店を作りたいよね。乞うご期待!」
季節の鮮魚や美味しいお刺身、お寿司、お惣菜が満載
Taro’s Fish
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