「#能登の酒を止めるな!」プロジェクト|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第142回】
能登半島沖地震で被災した能登の蔵元。11ある蔵のほとんど全てが全壊・半壊判定になっています。被災した日は1月1日。酒蔵ではどこも酒の仕込みが始まっており、発酵するもろみが蔵にはありました。そのもろみを救い出して、しぼったお話しは前回しました。しかし、もろみを救い出してしぼっても、その後の仕込みはもう出来ません。
タンクは倒れ、米を蒸す甑や麹室なども機能しない状況です。このままでは、手配して購入した米が残ってしまいます。さらに、酒蔵の収入は酒を販売してはじめて入ってきます。
酒造りがこれから復興するまで出来ない場合、購入し在庫している米も古くなり使えなくなります。
完全復興には数年かかるからです。
それを救おうと「#能登の酒を止めるな!」プロジェクトがスタートしました。まずはクラウドファンディングの「MAKUAKE」において、このプロジェクトがスタート。4月末の時点で、4000万円超の支援がありました。詳細は以下をご覧ください。
https://www.makuake.com/project/noto_sake1/
被災した能登の蔵のお酒を、被災を逃れた全国の有志の蔵元が担当し、一緒になって酒造りをしていきます。自らの酒蔵を貸し出すようなイメージです。こういった支援はとても大切で、寄付だけもらっても商売が復活しない限り、絶対に復興にならないことを東日本大震災を経験した私たちは知っています。
自分の商売を何とか継続すること。そして、それが未来に確実に繋がる事を実感しないといけません。
そういう意味では、このプロジェクトの意義はとても高いのです。全国の蔵元が能登に心を寄せているのです。酒蔵はこういった状況の中で助け合えるのです。なぜならば、日本の酒蔵は、ほとんど全てが100年以上経過している100年企業で、長いところは300年、400年と続いています。
長い歴史の中で、これまでも戦争や関東大震災、疫病の流行など、現代の科学や医学が無い時代も生き残ってきました。その経験や、その時の行動は口伝として代々家族に伝えられ、現在の酒蔵の当主達に知恵と考え方と行動する勇気が蓄積されているのです。そんな伝統産業の中にいる事を私は誇りに思っています。
今まさに動き始めた支援。しかしこれも今年だけとかでは意味がありません。まだまだ復興には長い時間がかかります。もっと考えて支援を広げていきます。
オンタリオ取扱い代理店: Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授