能登を訪れて感じた違和感|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第143回】
能登の震災から6月で半年をむかえました。このタイミングで私は能登に行ってきました。石川県輪島市で「奥能登の白菊」という地酒を醸す白藤酒造さんにお邪魔してきました。この蔵は小さな蔵ですが、社長と奥様で酒造りをやっていて、手造りで本当に素晴らしい能登の地酒を醸している蔵です。
社長と奥様は私の母校である東京農業大学醸造学科の1つ下の後輩で、学生時代も農大でとても有名な文化祭である「収穫祭」の醸造学科の運営本部に所属し、この運営本部でもともに活動をしてきた大切な仲間でもあります。1月の震災直後から連絡を取り合い、私の東日本大震災での経験なども踏まえてアドバイスや応援をし続けてきました。
本来なら1月に訪問しようと思っていたのですが、道路状況や余震の状況を加味して、白藤社長から「無理しないでください」と言われていて、状況が落ち着いた約半年後に訪問となりました。
水がとにかく足りないと聞いていたので、大量の飲料水を持って車で行ってきました。まず、金沢市内から能登へ向かう道路は、震災当時よりもかなり修復が進んでいました。しかし、能登に入る道と能登から帰る道を同じ道を通れなく、指定された別の道で行き来する状況でした。修復は進んでいるとは言っても、能登に近づくと、土砂崩れや道路の亀裂などは顕著になってきて、東日本大震災の時もそうでしたが、インフラの復旧にはかなりの時間を要するのだと感じました。
ここで東日本大震災との違いの1つが、新幹線です。東日本大震災では新幹線が復旧するのにかなりの時間を要しました。しかし、今回の能登の震災では、金沢までの北陸新幹線はすぐに復旧。拠点の金沢までは東京でも大阪でも簡単に入る事が出来ます。東日本大震災ではこれが出来なかったので、陸路で入るしかありませんでした。高速道路も金沢近郊は復旧していましたが、東日本大震災では高速も復旧が遅れていました。
そういった意味でも、能登への支援は、確かに道路は大変ですが、供給基地である金沢などが大いに機能する状況ですから、もっと強い支援が東日本大震災とくらべてきているのだと思って能登に入りました。
そこで能登で違和感を私は覚えます。重機やボランティアなど、東日本大震災の半年経過のころと比べても圧倒的に少ないのです。なぜ?と本当に驚きました。様々な要因があるとは思うのですが、あまりにも能登の復興のスピードが遅れている事を一番に感じた訪問でした。次回に続きます。
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