能登の大震災の復興の象徴のようになっている能登の酒蔵|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第145回】
日本酒の世界は9月から11月にかけて、日本全国で多くの試飲会が開催されます。その試飲会で能登の酒蔵の酒を出したい、また募金をして能登の酒蔵に送りたい、こういった動きがとても多くなってきました。さらに、昨年不祥事があってちょっと色々と問題もありますが、8月末に放送された有名な24時間テレビでも、今年は石川県そして能登に注目して多くの芸能人が入っていました。
番組の不祥事はどうなのか、と思いますが、このように能登にあらためて注目をしてもらえる機会としては大変良いのだと思います。前回も書きましたが、圧倒的にボランティアが足りていないので、さらに情報が薄くなってきている今、また再度能登に心を寄せるきっかけにテレビはなったと思います。
能登の酒蔵のお酒はほとんど地震で割れてしまったり、仕込みの継続が出来なかったりして、9月から11月の酒のイベントに出せるものは多くありません。しかし、能登の酒蔵では造れなくても、蔵元が別の蔵に自社の救い出した米を持ち込み、酒造りをしているところが結構あります。白藤酒造さんもその1つで、福井県の蔵元で自社のブランド「奥能登の白菊」を製造し、量は少ないですが販売も開始しています。
ただ、圧倒的に量が少ないので、すぐに売り切れる状況と聞いています。酒の会に出せるほどの量はないでしょう。それでも、酒は無くても蔵元や杜氏に酒の会に来て話してほしい、という依頼は多々あります。もちろん、交通費なども負担して来てもらうのならば私は大賛成です。なぜならば、そういった酒の会に参加する人は酒を愛している人で、酒を愛するということは蔵元を愛する人たちだからです。
そんな心の温度の高い人の集まりに参加して、現状の話やこれから未来への希望を語るだけでも能登の酒の復興に大きな力になります。もちろん、忘れかけていた能登の大震災を再度思い思い起こし、能登の酒への支援金も大きくなってきます。
能登の蔵元は毎回つらい話をするのも大変ですが、私たちも東日本大震災からの復興の段階では、かなりの日本酒を愛する人たちから支援をいただきました。
そういった方々は、本当に日本酒を愛していて、蔵元に復興してもらいたいと願っていて、話をすると涙を流して聞いてくれます。
やはり当事者の言葉が一番伝わります。未来に向けて、能登の酒蔵が復興していく事が能登全体の復興に繋がります。是非カナダの皆さんにも応援をよろしくお願いします。
オンタリオ取扱い代理店: Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授