災害報道と観光地、その難しいバランス|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第167回】
日本は最近地震が続いています。東北でこの2か月で緊急地震速報が出たものが2回、関東で1回。東北は昨年からこのような震度6クラスの地震が多くおきています。地震はもちろん怖いのですが、この緊急地震速報が出るような地震がおきると、被害はそこまで大きくなくても、NHKなどではしばらく特別番組が流されます。民放各社もある程度の時間は地震について大きく報道します。これは大切な事なのです。
しかし、この地震報道が長引くと、大きく影響する産業があります。それが観光です。地震の報道が大きく出るたびに、今回は青森県の経済都市八戸市の宿泊先や観光地にはキャンセルの連絡がたくさん来ます。
津波警報も津波注意報も出ていないけど、震度の大きい地震だと、必ず大きく報道されますので、行くのをやめよう、となります。それはもちろん正しい選択です。ただ、現地からすると、大きな収入源となり、生活が苦しくなります。
私の住む二戸市は観光地ではないのであまり影響ありませんが、観光地にとっては大打撃です。今回は関東で、富士五湖を震源とする地震もおきました。富士山は世界遺産に登録されており、外国人観光客にも大人気の観光地です。もちろん私たちも「富士山が噴火か」と思うくらいですので、外国人観光客からしたらとても不安になるでしょう。怖いのに観光に来て、とは言えません。
しかし、報道も中途半端にやることで、避難が遅れたりしたら大変です。全力で「逃げてください」「注意してください」と報道します。これは東日本大震災以降、報道各社が意識しているやり方で、アナウンサーはいつもよりかなり強い調子で「逃げて」と放送します。
この影響は震源地には大きく、逃げなければ、と思う人も増えています。ただ、その放送は全国に流れており、緊張した雰囲気が震源地だけではなく、全国に伝わります。そうなると、旅行はやめよう、となる人も増えます。
この問題に正解はないと思います。多くの人が被災しないように、そして被害が少ない地域に観光などでダメージが出ないように、どのようにしたらいいのかこれからも悩みます。危なくないから来て、とも言えないもどかしさもあります。
日本全国、どこで災害がおきるかわかりません。東北だけの問題ではないのです。

オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp

本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授
久慈 浩介
岩手県の銘酒として知られる「南部美人」は、カナダ・トロントでも味わうことができる日本を代表する酒蔵で、2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。5代目である久慈さんは震災直後から日本酒を通じて地域復興の様々な取り組みを行ってきた。本連載では久慈さんが体験したことや復興の取り組みなどを寄稿してもらう。














