頑張ろう!東北!! | 東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第81回】
今年も東北は3月11日を迎えました。東日本大震災から8年。あっという間の8年、そしてまだまだ先の見えない8年でもあります。3月11日は東北各地で追悼式典などが毎年行われます。日本は2019年5月1日から天皇陛下が譲位をして、皇太子様が新天皇陛下となり、元号も平成から新しい元号に代わります。今年の3月11日の追悼式典は平成最後の追悼式典となります。
岩手県は今年、県としての追悼式典を久慈市で行います。達増知事をはじめ、国からもたくさんの国会議員や関係者がいらっしゃいます。震災から8年経過して何が復興したのか、そして人々の心でまだどこが復興していないのか、あたためてみんなで考える機会にしたいと思います。
東日本大震災から8年経過すると、日本列島は各地で様々な災害に見舞われました。西日本の豪雨被害から、北海道の地震、熊本の地震、本当に日本はたくさんの災害がある国なのだと思います。東日本大震災は広範囲での被災ということと、日本の首都東京も大きな被害を受けました。さらに福島の原発の問題はまだ今でも尾を引いています。岩手県も漁獲量が減り、漁師の皆さんは震災前よりも苦しい状況にあります。
震災をきっかけに地元に戻ってきた人たちもたくさんいます。震災時子供だった子も成人したり、就職したりしています。そういった方々が今各地で活躍してくれていて、若い力がこの先とても必要になる被災地ではとても明るい希望になっています。しかし、まだ災害公営住宅に住み、孤独と戦っているお年寄りも多くいます。家に帰れずに亡くなった方もたくさんいます。コミュニティが崩壊して、孤独死した人も報道はあまりされませんが、とてもたくさんいます。
新元号という新しい時代に向かって日本は進んでいきますが、全てを忘れ去って明るい未来を描けばいいというものではなく、振り返りながら、忘れずに、そして遅れて歩いている人に手を差し伸べる優しさを震災から8年を機に、再度持ちたいと思っています。
このままあっという間に震災から10年が過ぎそうな気がします。10年ひと昔と言われますが、時代の流れが速い現代では、10年はとても昔に感じてしまいます。被災地に住む私たちだからこそ、現地の「今」をしっかりとこれからも日本中、そして世界中に発信していきたいと思います。まずは震災から8年。3月11日は黙とうを捧げ、これからの未来を考える機会にして静かに祈りたいと思います。「頑張ろう!東北!!」
オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp
本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授
久慈 浩介
岩手県の銘酒として知られる「南部美人」は、カナダ・トロントでも味わうことができる日本を代表する酒蔵で、2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。5代目である久慈さんは震災直後から日本酒を通じて地域復興の様々な取り組みを行ってきた。本連載では久慈さんが体験したことや復興の取り組みなどを寄稿してもらう。