東京オリンピッ ク・パラリンピック|東北の小さな酒蔵の復興にかける熱い想い【第91回】
2020年は日本にとってはとても大きな意味のある年になります。それは東京オリンピック・パラリンピックが開催されるからです。1964年に開催された東京オリンピックは、日本の経済成長に大きな役割を果たしました。その後の日本は不死鳥のように立ち上がり、今の日本の礎を築いたのも、1964年の東京オリンピックだと私は思っています。
時代が進み、経済も民度も高まった2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックは、1964年とは違う意味での日本の成長に寄与すると信じています。
そんな2020年東京オリンピック・パラリンピックですが、開催の理念の中に「東日本大震災からの復興の象徴」という言葉があります。実際に、野球の試合は福島県で開催されますし、聖火リレーも福島県からスタートします。このオリンピックにより、日本が2011年の東日本大震災から約10年の月日を越えて復興している姿を世界の人たちに見せることが出来るのならば、被災地としても大変うれしい事だと思っています。
しかし、問題点が無いわけではありません。オリンピックの施設建設には莫大な費用と人員、そして建設のためのコンクリートなどの原料が必要です。被災地の復興事業の妨げになるのではないかと言われていましたが、確かに人件費は大きくなり、資材も減ったのかもしれませんが、被災地の復興が止まってしまった、というような大きな影響は無かったかと思います。多少の遅れは出たとしても、国としてこれだけ大きな事業が行われることは、間違いなく被災地の復興を後押ししますし、それ以上に発信の力は大きく、被災地もここまで来たらオリンピックをしっかりと盛り上げていきたいと思っている人も多いです。
出来ることなら、世界から来るであろう観光客、選手、応援団の皆さんに被災地に足を運んで現場を見ていただき、災害のすさまじさを学んでもらい、そこから何か得るものを持って帰ってもらいたい。そして、被災地の皆さんと交流を是非してほしい。東京だけにとどまらず、東北、そして東日本に足を運んでいただくことを切に願っています。
それでもまだまだ復興は完遂していません。遅れも見える地域もまだあります。私たちもしっかりと東京オリンピック・パラリンピックと連携して、復興事業もさらに加速できるように頑張りたいです。世界の皆さん、そしてカナダの皆さん、2020年もどうぞよろしくお願いします。
オンタリオ取扱い代理店:
Ozawa Canada Inc
現在トロントで楽しめる南部美人のお酒は、「南部美人純米吟醸」とJALのファーストクラスで機内酒としても採用されている、「南部美人純米大吟醸」の二種。数多くの日本食レストランで賞味することが可能。
南部美人 / http://www.nanbubijin.co.jp
本文:南部美人 五代目蔵元 東京農業大学客員教授
久慈 浩介
岩手県の銘酒として知られる「南部美人」は、カナダ・トロントでも味わうことができる日本を代表する酒蔵で、2011年3月11日の東日本大震災で被災した蔵のひとつだ。5代目である久慈さんは震災直後から日本酒を通じて地域復興の様々な取り組みを行ってきた。本連載では久慈さんが体験したことや復興の取り組みなどを寄稿してもらう。