People. 11 阪田尚央さん 中編「トロントのワーホリで得た、たった一つの大事なこと」|カナダワーホリを超えて30代になった今
とりあえずやってみる
「やりたいと思った事は必ずやる」と決めてトロントに着き、2週間後には早速最初の仕事に就いていました。仕事内容は「牡蠣の殻剥き」でしたが、そこから「バスボーイ」「靴磨き」と、日本でやってこなかった事にチャレンジしました。半年が経ったある日、ふと先輩に「そういえば古着屋やりたいんじゃなかったっけ」と言われ、古着だけはチャレンジしてなかった事に気づきました。その日の夜から、早速オンラインを使って古着の販売をはじめました。Thrift Shopで仕入れをし、KijijiやCraigslistで販売しました。名刺も自分で作り、月に数万円程度の収入にはなりました。同時に、実店舗で経験を積みたいと思った僕は、トロント内の古着屋42軒に片っ端からレジュメを持って面接に行きました。「アパレル経験ゼロ、ビザは残り半年、語学力は学生以下」そういった理由で全件断られました。ただ唯一、1軒だけ「ボランティアでよければ色々教えてあげるよ」と言ってくれた古着屋がありました。僕は即答で「YES」と告げ、オーナーのJOSEの下で古着のいろはを教えてもらうことになりました。
Anyway, Life is beautiful
順調に事が進んでいた時、JOSEの古着屋が潰れることになりました。落ち込んでいるはずのJOSEに「この後どうするの?」って聞くと、彼が「Anyway, Life is beautiful(ま、これだからこそ人生は面白いよね)」と笑みを浮かべて言いました。その言葉を聞いてから僕は大抵のことがあっても、ポジティブに捉えられるようになりました。数日後、彼が『Vintage&Flea』という新しい古着屋を始めたいから「一緒にやらないか?」と誘ってくれました。
そこから彼のスペースの一部を僕が間借りして、自分の古着屋をオープンさせました。ビザも延長し、半年程古着屋のオーナーとして過ごした僕は、毎週2日の営業で、新卒の初任給程の収入を得られるようになりました。「いつかは古着屋をやってみたいなあ」と言っていた1年前の自分に対して、「案外うまくいくから、まずはやってみれば?」と言ってやりたくなりました。
僕がこの古着屋という一つの夢を叶えるために行ったことは「とりあえずやってみる」ことでした。そしてやってみると、それまで見えてなかった新しい世界がやって来ます。僕は今、古着屋をしていません。それは古着屋をやってみた事で、もっとやりたいことが見えたからです。
次回は、トロントで得たこれまでの経験が、今のキャリアにどう繋がっているかについてお話できればと思います。
阪田 尚央さん
NEW STANDARD株式会社 (旧社名:株式会社TABI LABO)
「BPM」OMO型イベントスペース 事業責任者