People.23 vol.03「カナダの音楽市場から紐解く日本の傾向」Yuiさん|カナダで挑戦する若者
あけましておめでとうございます!早速ですが皆さん、日本とカナダの音楽市場規模はどれくらいかご存知でしょうか。実は日本はアメリカに次いで世界第2位の市場規模を誇っています(約4,000億円)。カナダは8位(約900億円)ですが、人口3800万人という規模を考慮すると、音楽市場でのポジションとしては非常に強いと言えます。そこで今回は、過去データを基にカナダと日本の音楽市場について比較・考察して行こうと思います。
まず日本市場は、ストリーミングによる売上が全体の約40%を占めています。次いで30〜40%をCDやDVDなどの物理的な売上=フィジカルセールスによって構成され、これは世界全体のフィジカルセールスの約45%を占めました(世界第1位)。ちなみに市場1位のアメリカは全体の10%にも達してないんです。これは日本の大きな特徴で、CDやDVDに付属する写真やイベント参加券などの特典商法、初回限定版などのコレクターズアイテムを含めた、日本の「ファン文化」「コレクター文化」が強く影響していると考えられます。俗に言う「推し」という考え方ですね。
一方カナダでは、2023年に前年比12.2%の収益成長率を遂げました(世界全体の成長率10.2%)。中でもストリーミングサービスの成長が著しく、2018〜2023年でカナダのアーティストがSpotifyだけで生み出したロイヤリティは2倍以上、CAD約4億3,500万(約500億円)を超え、現在デジタル音楽売上はカナダ音楽市場の約50%以上を占めています。さらに、2023年にカナダのアーティストがSpotifyで生み出したすべてのロイヤリティのうち、なんと92%はカナダ国外のリスナーでした。つまり、カナダ国内の売上増加に加え、カナダ発アーティストが国際的に大活躍しているということです。
日本の楽曲やアーティストをどう世界で広められるかという事をよく考えるのですが、色々ある中でも「知ってもらう最初のキッカケ」をいかに増やすことができるかが重要なポイントの1つだと思っています。その上でデジタル音楽の更なる成長は必須であり、普及率の低い日本市場の課題がここにあるように感じます。2024年のデータ集計が待ち遠しいですが、今後の日本音楽市場の動きにこれからも注目して頂きたいです。