世界がアートで満たされていったなら 第42章
Creativeなまち大阪。お笑いともの作りは速さが勝負やで。
大阪にてUnknown Asiaという次世代を担うクリエイターの国を超えた活躍をサポートするアートフェアに参加した。会場の大阪市中央公会堂では、「大阪カンヴァス」のスーパーニットクリエイター力石咲の作品展示や、お笑いコンビキングコングの西野亮廣の公演「サーカス!」なども開催されていて大いに盛り上がった。筆者は、常々、直で世界と繋がる重要性を訴えているが、Unknown Asiaは大阪とアジア各国をつなぐ、というふれこみ。日本国内のアート業界は、現在でも篩(ふるい)にかけて厳選されたもののみを良しとする風潮がまかり通っているが、語弊があってもあえて言うなら、その中で活躍するアーティストたちは、世界のクリエイティブのスピードとパワーを併せ持った動きには、まず同調できないだろう。いや、アート業界が小さな輪の中で椅子の取り合いをしているようなマーケットでは、どんなに才能があるアーティストでも営みを継続してはいけない。その点において、トロントなど海外に進出し現地で活動できているクリエイターの選択は間違っていないのだなと改めて実感できる。国内で活動しながらうまくやっているアーティストたちと言えば、地域と連携してアートを産業に絡めるなど知恵を絞った活動をしている。クリエイターたちが自由に活動を継続していける場所、社会がそれを作らなくてはならない。そして、それは必ず社会に還元されるものなのである。
それにしても大阪はとても自由でクリエイティブだ。吉本新喜劇は言わずもがな、道頓堀や新世界の何でもかんでも立体的な看板や、建物のなんで?と思わせる設計…先出の大阪カンヴァスでは、道頓堀川を回転寿しに見立てて大きな立体すし彫刻を流す「ローリングスーシー」、「水面下で働く人」という水槽の中でデスクワークしている作品など大阪ならではのキャラだろう。その昔、ウルフルズは、「大阪は日本のなかでも外国同然」と曲中で歌っていたが、東京の篩を通さずにアジアとこの街が真の意味で直通すれば、かなり面白い事になりそうである。
大阪都構想を巡る議論が活発な中実施される府知事&市長のダブル選挙、鉄人金本新監督誕生、ホットな話題が尽きない大阪。大阪アーツカウンシルという、大阪の文化を元気にしてその元気で大阪をもっと元気にしようとする組織もある。「大阪の人は勢いで生きてはるからなあ。」と、大阪の友人。勢いが活きる都市。勢いが続く都市。クリエイティブな発想が生まれたまま形になる。きっと「速い」大阪は、世界レベルのクリエイティブ。未来を創るまちなのだ。
Today’s his WORK
福島のアリス FUKUSHIMA NO ALICE
武谷大介 Daisuke Takeya
武谷大介は、トロントを拠点に活動するアーティスト。現代社会の妥当性を検証するプロセスを通じて、その隠された二面性を作品として表現。ペインティング、立体作品、インスタレーションなどその作品形態は多様で、国際的に多岐に渡る活動を展開。展覧会に、福島ビエンナーレ2014(’12)、新宿クリエイターズフェスタ2014、六本木アートナイト2013(’12)、Artanabata 織り姫フロジェクト(仙台)、女川アートシーズン(宮城)、くうちゅう美術館(名古屋)、MOCCA(トロント)、国際交流基金トロント日本文化センター、在カナダ日本国大使館、ニュイブロンシュ(トロント、’06、’07)、六本木ヒルズクラブ、アートフォーライフ展(森美術館)、京都アートセンター、ワグナー大学ギャラリー(NY)、SVAギャラリー(NY)、ソウルオークション(韓国)、在日本カナダ大使館内高円宮殿下記念ギャラリー、セゾンアートプログラム(東京)、メディアーツ逗子など多数。今年は、トロント市内クリストファーカッツギャラリーにて個展開催予定
大地プロジェクト共同代表、遠足プロジェクト代表。過去にアートバウンド大使 、日系文化会館内現代美術館理事、にほんごアートコンテスト実行委員長、JAVAリーダーなど。カナダでのレプレゼンテーションは、クリストファーカッツギャラリー(www.cuttsgallery.com)、 著書に「こどもの絵(一莖書房)」。www.daisuketakeya.com