大人気マンガ家 安野モヨコさん インタビュー

『さくらん』や『働きマン』など多くの作品がドラマ化や映画化。 数多くのヒット作を生み出している大人気マンガ家 安野モヨコさん インタビュー

anno-moyoko-01『ハッピーマニア』をはじめとして、『さくらん』や『働きマン』など、ドラマ化や映画化もされる数多くのヒット作を生み出しているマンガ家・安野モヨコさん。サイン会やパネルディスカッションなどで多忙なスケジュールの中、TCAF開催前日に独占インタビューのお時間をいただいた。今回のイベントでは安野モヨコ自身のオタ嫁修行生活を物語った『監督不行届』のメインキャラクターでもある、夫の庵野秀明監督もプライベートでともに来加。安野さんに公私に関してお話を伺った。

トロントの印象

今回がはじめてのカナダ訪問です。空港からダウンタウンへ来る途中、マンション建設ラッシュの風景を観て、新しい街という印象がまずあったのですが、昨日AGO(オンタリオ美術館)に行った際、古い建物が残っていて、そこがパブになったり、お洒落なギャラリーカフェになっていたりと、古い物と新しいものが上手に共存していて、日本の街に通じるものを感じました。とても素敵な街ですね。
観光はナイアガラの滝に行きたかったのですが、日程の都合で行けないのが残念です。主人(庵野秀明監督)は、鉄道模型の専門店があるといって、今朝、置き書きを残して飛び出していきましたけど。笑 模型って持って帰るのが大変なのですが、その場で買わないと、日本ではネットでも手に入らないものがあるので、素敵な模型に出会って買って来られると良いのですが。

作品登場人物のモデル

モデルとなっているのは、私の友人が多いですね。自分自身の要素も取り入れますが、それはあまり格好良いところではなく、どちらかと言うと、こっそり泣くとか、そういうところだと思います。(笑)

作風とこだわり

常に掲載する雑誌の事を考えて漫画を描いているので、それによって作風は変化すると思いますが、基本的に描いている事は変わらないと思います。また、私は装丁にもこだわりがあります。まずは信頼出来るデザイナーさんにお願いする所から始まって、私が読者だったら、数ある本の中から、それを選んで手に取るか、またそれを部屋に置いておきたいかどうかを考えるようにしています。

美と食

美について一言でいえば、私は「バランス」だと思います。例えば、表面的にすごくメイクもバッチリで、ファッションもキメてても、話し方だったりとか気遣いがなかったりとか、そういうもので崩れてしまうと思うのです。なので、全体的にその人が持っている全てのものの中のバランスが揃っていること、そうすれば、流行の格好をしていなくてもきちんと美しく見えるのですね。そして美と食で共通することが、どちらも生きていく力みたいなものが現れるものだと思います。生きる力=食べ物みたいな部分があるので、お料理をたくさんして、いつでも自分にとって最適な物を選べる力っていうのは、直接生命力になっていく。ですから、それが強くて、常に活発であれば、その人はいつも美しいと思いますし、それが、人が生きていく中での基本の部分だと思います。

影響を与えた漫画家と好きな小説家

やはりいろいろな漫画を描いてきた、手塚治虫先生だと思います。多くの漫画家がそうだと思いますが、子供の頃は鉄腕アトム、小学生くらいになるとブラックジャックをみて、大人になればブッタとか、どんどん成長と共に全ての作品にふれることが出来るというのは、やはり凄いなぁと思います。一番好きな小説家は内田百閒です。描こうとする物に丁寧にそっていくという書き方で、私も丁寧になぞるようなやり方をしてみたいと思ったのは彼の影響だと思います。

マンガ家を目指したきっかけ
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パネルディスカッション「スポットライト・安野モヨコ」 での様子

マンガ家を自分の夢だと確信したのは、小学生3年か4年の時、10才くらいのときですね。学校で将来何になりたいですか?という課題があって、そういうのって幼稚園くらいのときからよく聞かれる質問だと思うのですけど、私のときは、クラスのほとんどの女子が保母さんだと答えてたのです。あとはケーキ屋さんになりたいって子がひとり。私、甘いもの苦手だし、自分も子供なのに子供と遊ぶってゆうのにも変だなって思ってしまって(笑)それで、考えたあげく花が好きなので、お花屋さんって答えが良いと思ったのです。ただ、それからずっと違和感があるというか、しっくりこなくて、なんだろうってぼんやりと毎日考えていたのですが、あるとき学校のお掃除の時間に、「あ、わたし漫画家になりたいんだ」ってふと思ったのです。その思いがとてもしっくりきて、それが私の目標なのだと初めて思った瞬間だったと思います。今でもしっかりと覚えているくらいの、衝撃的な瞬間でした。

作品中で複数回描かれている女郎というテーマについて

現代社会で生きている女の子を描こうと思った時に、リアルにそのままを描くよりも、時代とか場所を変えて描いた方がストレートに入ってくるかなって思って描いているところはあります。常に水商売をしている人もいるし、そうでない人も、だからといって、恋愛とか感情をまったくおろそかにしている訳ではないのですよね。ただ、どうしてそうなってしまったのだろうという疑問というか、女性はこれだけ仕事もして、安全に暮らせる中で。常に皆が見ないようにしているけど、例えば普通の生活のそばに、そういう問題が横たわっていると思うのですね。
違った時代や場所の作品を描くときのリサーチは、実はあまりしていません。調べすぎて、歴史の教科書みたくしたくないというところがあるので。ただ、基本的に写真とか当時の絵とか、そういうものは沢山見ます。

これから

以前はいろいろなジャンルのものを描くというと、雑誌というものがすごく鮮明にあったのですが、今はそうゆうことよりも、自分が漫画の一読者として、自分だったらこーゆうものを読みたいなと思える物をただずっと描いていけたら良いと思います。

 

▲『さくらん』©安野モヨコ/コルク

『さくらん』©安野モヨコ/コルク

『美人画報』©安野モヨコ/コルク

『美人画報』©安野モヨコ/コルク

『食べ物連載 くいいじ』©安野モヨコ/コルク

『食べ物連載 くいいじ』©安野モヨコ/コルク


安野モヨコ(あんの もよこ)
高校在学中『別冊少女フレンドDXジュリエット』掲載の『まったくイカしたやつらだぜ!』にてデビュー。『FEEL YOUNG』で連載された『ハッピー・マニア』は、1998年にフジテレビ系でドラマ化された。 2005年、少女漫画誌『なかよし』に連載された『シュガシュガルーン』で第29回講談社漫画賞児童部門を受賞。同年7月よりテレビ東京系でアニメ化。 2006年『週刊文春』にて、食べ物を題材としたエッセイ『くいいじ』を連載。同年10月より『モーニング』にて連載の『働きマン』がアニメ化、2007年には日本テレビ系でドラマ化された。2007年、『イブニング』で連載された『さくらん』が、蜷川実花監督により実写映画化。最新作『鼻下長紳士回顧録』は2013年11月より『FEEL YOUNG』にて連載中。『ハッピー・マニア』は海外で初めて翻訳発売された女性向け漫画と言われ、その他『花とみつばち』『さくらん』『監督不行届』等、数多くの作品が英語出版されている。

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