CREATORS’ LOUNGE #24
日本からトロントへ、そしてトロントから日本へ。
日本人の才能をトロントに伝えたい。トロントの表現力を日本へ届けたい。
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『自分の中の景色を見せたい』
― 独自の世界観をプロデュースし続けるミキサー
デジタルな映像と音楽が繊細かつ大胆に融合した空間で日本国内外のシーンを沸かせてきた DE DE MOUSE が2月15日、トロント公演を行った。今回はその DE DE MOUSE の立役者、遠藤大介氏に彼の音楽観や音楽を始めたきっかけを伺った。
DE DE MOUSE interview
○作曲や編曲、映像、DJなど様々な分野で活躍されていますが、音楽を始めたきっかけや興味を持ち出したのはいつごろからですか?
音楽自体は子供の頃から好きだったんですけど、群馬県っていう割りと田舎で育ったので退屈な日々でした。サラリーマンになってこの土地で死んでいくって想像しただけで悪夢でしかなかった。テレビで見る世界ってすごく煌びやかな世界だったから、そういう世界に自分もいきたいなって思ったけれども俳優ができるわけでもないしっていうなかで音楽って結構簡単に出来そうだなって思って。
○日本だけでなく海外でもライブをやられていますが、パフォーマンスの見せ方を意識して変える部分はありますか?
基本はあんまり変えないようにはしている。僕を見に来てくれたりする人ってどこの国の人も来る人たちってあんまり変わんないなって思うからいつも通りやった方がいいし、一時期ちょっとドイツに行ったときにいままでの自分をちょっと封印して違うことやってみようって思ってすごく自分のパーソナルの部分を少し抑えて自分の音楽だけでやってみようと思ったけど伝わんないですよね。やっぱり一番伝わるのって声とかしゃべることとかパフォーマンスとかでその人の人間性って伝わってちょっと見てみようかなってなるからあんまり変えないようにしている。
○そもそも海外に視点を向けたきっかけは?
海外の音楽がかっこいいっていう風に刷り込まれて育って生きてきたわけでもあるし、僕は90年代のテクノとかエイフェックスツインみたいな人たちがすごく好きだから、その人たちがいる国とか文化で自分がやりたいっていう憧れが最初からあった。僕も海外にいつも行っているわけじゃないけど日本で活動すればするほど、海外に行けば行くほどやっぱり東京で活動してるってすごい恵まれているなって思うことがけっこうあって、10代の頃は、海外はかっこいい、日本はかっこ悪いってすごい思っていて、地図見たときにイギリスよりかも日本のほうがでかいっていうのを見てちょっとショックだったんですよね(笑)もともとそうやって海外の音楽が好きで自分もそういうことやりたいって思っていたけど結局東京は東京で、ジャパンはジャパンですごくクールなんだなって言う風にここ数年で思うことがすごく増えてきちゃったってこともあって。あとやっぱりアメリカとかヨーロッパとかって圧倒的に受け皿の大きさが違うからアメリカとかヨーロッパと同じようなシステムにしても全く日本じゃ成り立たなくなってくという風な懸念もあるから少し外に向けてやっていかないとって考えてかないとまずいかなーなんて思うとこもあったりする。
○音楽に関わらず誰もが20歳ぐらいのときに悩む人が多いと思いますが、そういった人たちにメッセージやアドバイスはありますか?
続けなさいとしか言えないですよね。あと、年上の人の言葉に耳を傾けるってすごく大事だなって思います。どうしても若いと可能性も自信もあるし、おれは違うから!という気持ちがすごくあるから。で、結局同じ道辿るんですよ。あの時にあの人の言葉に耳傾けていたらもう少し自分が成功するのが早かったかもなって思ったりします。やっぱり失敗は少ない方が人生って幸せなのかなって思うこともすごく増えてきたから、経験って説得力なるけれども失敗ばかりしてきたって、そのときに楽しいって気持ちがなかったらやっぱりどれだけ経験してきても…っていうことがあるから、自分に自信持っているのはすごくいいしそれが続けていく1番大事なところなんだけれども、もう少し周りの人がこうしてみたらとかこういうこともあるよっていうのを聞いてみると、もしかしたら成功する近道に繋がるんじゃないかなって思うことが最近よくある。それはすごく大事ですね。自分も全然人の話聞かなかったから。
○表現者として音楽や映像を通してリスナーに対して何を伝えたいですか?
1番は自分のなかの景色を見てもらいたい。こういう良いとこ、こういう景色があるんだよって。いままで意識してなかっただけで実は自分のすごく近くにあるものとか、すごい壮大なSFとか宇宙の世界とか見せたいっていうよりかは自分の周りにあるもの、自分の身の回りに宇宙に繋がるものがあるからそういうもの。なんかちょっと違うものに目を向けて!みたいな。それを自分のファンとかリスナーの方には少しずつ刷り込ませていきたいなっていうのは毎作品必ずあって、ファンが求めるものだけ求めても同じものになっちゃうから少しずつ自分のやりたいことをそれに重ねていかないと結局全然ダメになっちゃう。夢と広がりがないというか、自分が作っていてつまらなくなっちゃう。今はやっぱりまだそういう自分の表現としてやっていくことがまだおもしろいから24時間かけて飛行機乗っても行くとこには行く。自分が選んだ道だから。この音楽不況のなかでこれからどうやっていくか全然わかんないけどいろいろ障害があればあるほど楽しいっていうのは間違いないから。
DE DE MOUSE プロフィール
遠藤大介氏によるニューエイジ系音楽プロジェクト。オリエンタルな音をはじめ様々な音をミキシングした独特の世界観で人気を博し海外でも公演するなど多数活躍中。他DJ や映像作家などともコラボレーションしている。
取材・インタビュー/Creators’ Lounge Main Interviewer & Writer : Akihiro Yamashita
Interviewer & Coordinator : Jumpei Komura
Photographer : Tatsuki Nakata
個々の文化やアイデンティティを多岐に渡る手法で表現出来る自由が存在する多文化都市トロント。「Creators’Lounge」は主として日本人及びトロント在住の次世代に台頭するアーティスト /クリエイターを発掘し、彼らの創作物 / 創作活動を発信する「場」を制作するプロジェクト。アート /ミュージック / ダンスなどこれらの分野に散在する個々の才能という「点」が異国の他者と結び付く形で「線」となり異なる文化が交錯、交流し合う「場」に。国際的なクリエイティブ・コミュニティを形成する息の長い活動を目指し、毎月様々なアーティストやパフォーマーを迎えイベントを開催。また、トロントで活躍するカナダ人アーティストを日本に誘致しライブを開催。素晴らしいカナダのアーティストを日本へ伝える「場」も提供する。