JETRO主催「ノバ・スコシア州経済セミナー」
10月27日@JETRO TORONTO
日系企業がオンタリオ州以外でも事業を広げるために必要な情報や知識を提供する場として定期的に開かれているJETRO主催の経済セミナーが10月27日、JETROトロント事務所にて行われた。今回は、ノバ・スコシア州が取り上げられ、ノバ・スコシア州経済開発公社であるノバ・スコシア・ビジネス・インク(NBSI)とJETROトロントの共催で行われ、2003年~2013年にオンタリオ州の教育大臣、環境大臣を歴任し、現在NBSI会長を務めるローレル・ブロテン氏と日立カナダのヘルスケア・ソリューション&ソーシャル・イノベーションを統括するタイソン・ロフィー氏が講師として招かれた。
ローレル・ブロテン氏は日系企業が何故ノバ・スコシアを選択するべきか4つの理由を挙げ説明した。1つ目は事業コストが安く済むという点である。世界4大会計事務所の一つであるKPMGによると、ノバ・スコシア州ハリファックスは北アメリカの都市の中で、事業費が低コストで済む都市のトップ10にランクインしている。次に高い能力を持つ人材確保の容易さだ。州内にある10の大学と13のコミュニティカレッジではカナダ屈指の学生数を誇り、より多くの教養や知識を持つ人材を確保しやすい環境が整っている。
3つ目は立地条件の良さ。ノバ・スコシア州はカナダ東海岸に位置しており、ニューヨークを中心としたアメリカへのアクセスに加え、大西洋をまたいでロンドンなどヨーロッパ市場へ目を向けることも容易である。ハリファックス国際空港では7万8千を超える航空機が出入りし、3万2千メートルトンを超える貨物を扱っている。海路においても、東海岸に位置する他のどの都市よりも2日早くヨーロッパからの貨物が到着し、150の国々に提供している18のコンテナラインがノバ・スコシア州を訪れているなど、貿易においても特筆すべき都市である。最後は生活する上でも素晴らしい環境であるという点だ。ハリファックスは気候も良く、素晴らしいビーチがあり、交通機関も充実した魅力的な都市である。加えて、生活費用に関してもカナダの平均費用を下回っており、快適に暮らすことが可能だ。
また現在の日本とノバ・スコシア州の関係についても言及された。ノバ・スコシア州にとって日本は6番目に大きい輸出市場であり、近年は農産物や海産物といったこれまでの主力商品に加え、タイヤ、海藻食品、化学製品、ロブスターなどが増加している。一方、輸入は2014年以降40%上昇しており、主に金属や銅、プラスチック、さらに光ファイバケーブルやディーゼルエンジン、海産物の輸入も増加している。
次にタイソン・ロフィー氏は日立カナダが実際にノバ・スコシア州で事業を展開している経験からその魅力や利点について語った。また、既にいくつかの日系企業はノバ・スコシア州内で事業を展開しており、参加者は東海岸という立地や海産物に強い点から漁業関係や商船会社といった企業が多いと予想したが、それらと並びデータ管理などを主とするテクノロジー系、IT系の企業が多くノバ・スコシア州内で事業を行っている。これには、参加者からも「予想外だった」という驚きの声が上がった。質疑応答の際にはIT、データ関連について複数の質問が挙がり、より詳しい説明を求めるなど、参加者の関心を集めた。ノバ・スコシア州でのビジネスチャンスに向けてデータ、IT分野の充実といった新たな発見を含め、今後に繋がるとても有意義なセミナーであった。