裏千家十五代家元(現・千玄室大宗匠)の白寿を祝う茶会が新照子(新宗楓)裏千家 教授宅で執り行われる

新先生
6月初旬、青空のもと、新照子(新宗楓)裏千家教授宅で茶会が執り行われた。茶会が開催されるのは、2年ぶりのこと。長いロックダウンで、茶席はもとより、集まりに参加するのが数年ぶり、という参加者も多く、お茶席を共に体験する喜びもさることながら、生徒同士の感動の再会や、初対面・新しい出会いもあり、集まった参加者それぞれにとって思い出に残る茶会になったようだ。


当日の招待客は、生徒の家族や友人が中心で、終始和やかな雰囲気のなか茶会が進められた。今回の茶会は、裏千家十五代家元(現・千玄室大宗匠)が4月で白寿を迎え、遠く離れたトロントから、千玄室大宗匠へ向けたお祝いの茶会でもあった。
訪れた招待客は、まず 室内に設けられた本席で、お茶を一服。お菓子は社中の生徒が手作りした、鮮やかな青楓が涼しげな錦玉寒がふるまわれた。

茶会でふるまわれた手作りの和菓子。

本席でのひとこま。茶席に参加するのは初めてという学生さんが参加
本席のあとは、新先生宅の裏庭に移動。トロントであることを忘れてしまう日本庭園に、ゲストは皆、驚いていた様子だった。時折心地よい初夏の風が吹く中、庭に設置された立礼席で、ゲストは二煎目を楽しんだ。外の席でのお菓子は、これも社中の生徒の手作りの寒氷。薄紫の色は藤の花をイメージしてつくられたそうだ。

新先生宅の日本庭園。ゲストは青空の下お茶を楽しんだ

終わったあとの集合写真。2年ぶりの再会を喜んだ
ここトロントは人種の坩堝と言われている多国籍の街。この日集まった招待客の国籍もさまざま。年齢もさまざまで、茶道歴何十年の先輩生徒から、抹茶を飲むのは初めての学生さんもおり、初めて茶会に参加するゲストは、どうふるまっていいのか最初は緊張した面持ちだったが、和やかな雰囲気の中、「おいしくお茶を飲むことが大切」というアドバイスをうけて、美味しそうに飲んでいる姿が印象的だった。
「一期一会」
今日のこの日この瞬間は
今この時だけ
その喜びをわけあうのが
一期一会
花みても人をみても
一期一会の気持ちで
今日は新しい気持ちで
そういう気持ちで
毎日を過ごすことが大切
このメッセージは参加者ひとりひとりの心に響いたようだった。
千玄室大宗匠は、「一碗からピースフルネスを」という、あまりにも有名なキャッチコピーを世界に発信されている。戦時中に飛び立ってゆく戦友に配給の羊羹でお茶を点てられたという。
今この瞬間も、まだ戦争が続いている国の人を思うと、人種と世代を超えて、お茶をわかちあうひとときが尊いひと時に感じられたことだろう。