自分の英語が、本当に伸びているのか実感できない。|TOEIC530点から英語教師となるまで英語力を磨き続けた男のトロント留学論【第5回】
カナダでおよそ160人以上(国籍は約20カ国)の生徒に上級英語を教えてきた経験と英語学習者としての経験を踏まえながら、この悩みに対する原因は主に2つあると考えます。
1つは「実際の英語の伸びしろ」と「それを実感(自覚)できるタイミング」に大きなズレがあることです。頭の中で、折れ線グラフを想像してみてください。
「実際の伸びしろ」は、緩やかな右肩上がりの坂道のように、日々の地道な学びを継続させることでコツコツと上に伸びてゆく線です。
一方であなたが英語が伸びたと感じられる瞬間は、大きな階段型の線です。急な崖を登りきるように初めは伸びしろを感じますが、その後しばらくは平坦な地面を歩くように伸びを実感しない期間が訪れます。そしてある時、何気ない会話の状況などで、以前よりも聞ける・話せる自分に気づく瞬間が突然訪れます。伸びしろの急な無自覚と自覚を繰り返すイメージですね。
このように伸びしろと自覚に大きなズレがある限り、本当に英語が伸びているかどうかは感覚だけではわかりません。伸びしろを測る物差しは、あなたの感覚ではなく、これまであなたが継続してきたゆるぎない毎日の学習経験の積み重ねです。これからも学ぶ姿勢をやめないことが、英語が伸びる1番の近道です。
だから、今日何をするかが一番大事なのです。その日もしくはそれ以前に学んでノートに書いたことを、寝る前に1分間見直して振り返るだけでも、学習記憶を強化させ、自分が何かを新しく学ぼうとした姿勢への小さな達成感を得られるので、1番の近道である「継続」を今後も維持できる活力になります。
そして、伸びしろを実感できないもう1つの要因は、常に他人と自分の英語を比較してしまう環境に今あなたがいることです。この思考の変え方を、来月号で紹介します!
荻野卓哉
2017年8月に渡加。ハンバーカレッジのTESL修士号プログラムを卒業後、トロント初純日本人ILAC正社員英語講師として現在就労中。
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Blog: 誰だって、日本を抜け出せる。