【第3回】「投資の前に固めたい土台:Emergency Fund ― 生活防衛資金」|カナダ生活の資産設計ノート
近年、長期的な視点で資産形成を考える方が増え、投資への関心も高まっています。素晴らしい傾向ですが、意外と見落とされがちなのが、『Emergency Fund(生活防衛資金)』。資産設計を語る上でまず押さえておきたい、欠かせない土台です。

生活防衛資金とは、予期せぬ出費や収入減に備える資金のこと。私自身、ある年の元旦未明に自宅の暖房システムが急に動かなくなった経験があります。室温が下がる中、当時3歳の子どもを毛布にくるみながら、新年早々、修理業者を探しました。結果的にファーネスの交換が必要となり、数千ドルを現金またはE-transferで即座に支払うことになりました。このように、「今すぐ現金が必要」という場面は、誰にでも突然訪れる可能性があります。
では、生活防衛資金はどのくらい用意しておくのがよいでしょうか。ポイントは、収入ではなく支出を基準に考えること。Financial Consumer Agency of Canada(カナダ財務消費者局)では、生活費の3〜6か月分を目安に推奨しています。できれば6か月分確保しておきたいところ。収入が不安定な場合は6〜12か月分を備えると安心です。まずは家賃や住宅ローン、食費、光熱費など、毎月の固定費を把握することから始めましょう。
貯め方のコツは順序です。収入から先取りで確保していきましょう。この流れを習慣にすることで、無理なく着実に積み立てられます。
生活防衛資金は、すぐ引き出せる口座に置くことが最優先。チェッキング口座でも構いませんが、チェッキング機能付きHISAなら流動性を保ちながら利息も得られます。TFSAに余裕枠があっても、多くの金融機関では生活防衛資金の用途として推奨されていません。必要なときにすぐ使える口座を利用しましょう。
何事も基礎が大切なように、資産形成も生活防衛資金という土台があってこそ、安心して次のステップに進むことができます。まずはご自身の状況に合った生活防衛資金を確保することから、始めてみてはいかがでしょうか。

泉 亜矢子 (Ayako Izumi)
オンタリオ州認定ファイナンシャル・アドバイザー。個人・法人向けに資産形成・保護・継承までを見据えたトータルプランニングを提供している。
Eメール : ayakoizumilin@crius.ca
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