【第27回】国際離婚: 弁護士費用とリーガルエイド|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方
結婚生活の破綻に伴う法手続において、自分や子供の権利を守るためには弁護士が必要です。より多くの人々が弁護士へ依頼することを可能にするため、オンタリオ州には、リーガルエイド・オンタリオという公的機関があります。
リーガルエイド・オンタリオ
https://www.legalaid.on.ca/services/family-legal-issues/
しかし、このリーガルエイドには問題点もあります。リーガルエイドを申請する際の留意点についてエキスパート弁護士ケン・ネイソンズに聞いてみました。まず、弁護士へ依頼する際の基本情報からお伝えしましょう。
弁護士費用とリテイナー
弁護士への依頼には、リテイナーと呼ばれる保証金が必要になります。リテイナーは、依頼者名義でトラスト口座に預けられ、費用が発生した際にここから弁護士に支払われます。
裁判が視野にない協議離婚の場合のリテイナーは、3000ドルが一般的です。これは日本の着手金と異なり、預かり金ですので、協議が早期に終了した場合や、依頼をキャンセルした場合には、使用しなかった金額が依頼人に払い戻されます。
正式な依頼の前の初回面談で代理人費用の支払い方法についても詳しい説明があるはずです。
協議離婚に要する交渉期間
離婚には、大きく分けて「子供」と「お金」という二つの争点があります。双方が友好的で、早期解決を積極的に望んでいる場合には、早期解決が可能です。
では、解決に向けてどのように協議が進むのでしょう。
まず「子供」に関する協議は、弁護士よりもミディエーターの介入が相応しいかもしれません。弁護士は、依頼人の希望に沿って相手と交渉しますが、ミディエーターは、子供にとってもっとも相応しい道筋を示してくれます。
次に「お金」ですが、当事者双方が法律で定められた経済開示を速やかに行えれば、後は法に従うだけです。ファイナンシャル・ステートメントと呼ばれる宣誓供述書が、養育費や財産分与などすべての交渉の基礎となります。
これらの二点が同意されれば、依頼から数ヶ月で交渉が終了することもあります。とはいえ、経済開示の催促を続けるだけで交渉すら始められない協議離婚も存在します。このような場合には、裁判も視野に入れなければならないでしょう。
リーガルエイドの申請と弁護士探し
さて、リーガルエイドの申請は低所得者に限られます。所得はなくとも、持ち家があったり、車を持っていたりした場合は、まずその財産の処分を求められます。また、財産分与に伴い、弁護士にリーガルエイド支給額との差額を支払うことになります。
リーガルエイドの最大の難関は、リーガルエイドを受け入れる弁護士を見つけることです。財産分与が得られる可能性の低いクライアントを受け入れる弁護士は稀です。
また、サティフィケートに記された時間内で裁判が終わらず、裁判を中断せざるを得なくなることを危惧し、受け入れをためらう弁護士もいます。
リーガルエイドの限界
ところで、リーガルエイドで賄えるのは、裁判所に支払う費用と裁判に伴う弁護士費用のみです。つまり、リーガルエイドの申請=裁判です。協議離婚の際に活躍するミディエーターや低費用でタスクに関わることのできるパラリーガルの費用には、リーガルエイドは使えないのです。
さらに、弁護士はリーガルエイド・クライアントに対し、時間をかけて説明することが難しくなりがちです。限られた時間は、裁判書類の作成や出廷に充てなければならないからです。「何が何だかわからなくても、とにかく任せるしかない」というのは、思いのほかストレスとなります。
オンタリオ州での離婚解決は、一貫して日本語でお手伝いできるネイソンズ・シーゲル法律事務所へご相談ください。ご事情によっては、弁護士費用の支払いを解決までお待ちすることも検討します。
当事務所では次の手順でリモート相談を行っております。
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