ジャムズネット・カナダ”が第一回総会を開催
カナダ邦人医療支援ネットワーク “ジャムズネット・カナダ”が第一回総会を開催
カナダ邦人医療支援団体・個人の連携やカナダ在留邦人の医療支援を目的に昨年2013年に発足したカナダ邦人医療ネットワーク“ジャムズネット・カナダ”が1月22日、在トロント日本国総領事館さくらルームにて第一回目となる総会を開いた。
具体的にジャムズネットではアイデアの交換、メンバー・コンタクトの紹介、緊急時の情報ネットワークとしての機能、資金を増やし各方面団体への活動支援を行っていくことを目的にメーリングリストなどでの情報の共有や集会を中心に活動している。
総会の始めには山本栄二総領事より「今回カナダでジャムズネットが設立されたことを力強く思っております。邦人保護は総領事館の重要な仕事の一つであり、その邦人保護に大きく関わるネットワークを立ち上げていただいたことについて深く感謝します」と、ジャムズネット・カナダの設立への歓迎の言葉が述べられた。
ジャムズネット・カナダの傳法清代表は「昨年はトロントを中心に数回集会を開きました。そして現在は40名近くのメンバーが参加する団体にまで成長し、本日設立総会をする運びとなりました。まだ会員規則や総会規則、予算案などもない状態で、まさに今総会がスタートラインです。主旨に賛同してくださる方々と一緒に素晴らしい団体を作っていきたいと思います」と開会宣言の中でその意欲を覗かせていた。傳法代表はJSS(ジャパニーズ・ソーシャル・サービス)の副会長、そしてモミジヘルスケア協会職員でもあることから、それら既存自助団体とジャムズネット・カナダの密接な連携が促され、トロント既存自助団体のサービスの質がさらに向上されることが期待される。
ジャムズネット・カナダには現在、バンクーバーやモントリオール、カルガリーなどカナダ全土で38名が参加(うち13名がトロントから参加)しており、今総会にはそのメンバーの代表者が出席。ジャムズネットワーク・ニューヨーク代表の本間俊一医師も電話参加し、ジャムズネット・カナダ設立の祝辞やジャムズネット設立の経緯を語った。
ジャムズネットの歴史は2006年のジャムズネット・ニューヨーク設立に端を発しており、それ以前のニューヨークには往診のためのサービス団体が多くあるにも関わらず、各団体同士、横の繋がりがあまりなかったのだという。横の関係を強化して、サービスの効率化を図ろうとの思いからジャムズネット・ニューヨークが設立され、総領事館など官からのサポートもあって、コミュニティ貢献活動へも活動の幅を広げていった。そして2009年には海外から戻ってきた医療関係者によってジャムズネット・東京が設立され、その後ボストンやトロント、ドイツなども活動に加わるようになり、2013年にジャムズネット・アジア、ジャムズネット・カナダと立て続けに設立し、現在ではグローバル団体へと成長した。加えて今年“ジャムズネット・ワールド”というイベントが開催される予定で、ジャムズネットの協力体制を世界中に構築していくことを目標に掲げ、さらなる躍進が期待されている。
カナダは日本と比べ診療を受けるための待ち時間が非常に長く、日本ではなじみのないファミリードクター制度など、在留邦人は苦労を感じることも多い。また、言語的・文化的背景理解が必要となるメンタルヘルスには邦人によるカウンセリングが求められるが、その人材の少なさも問題となっている。だが、在カナダ日本国大使館の仲本光一医務官によると、数は少ないながらも邦人医師や看護師、カウンセラーはカナダでも活動を行っているという。それら医療関係者とのネットワークが形成されることで、邦人により快適な医療環境が提供されるようになるだろう。今総会でスタートラインを切ったジャムズネット・カナダが、カナダ邦人医療環境に良い変革を起こしていくことを期待したい。