ロイ・タダヨシ・アサ氏 カナダにおける剣道の普及及び友好親善に寄与した功績で旭日小綬章を受章
平成30年秋の外国人叙勲伝達式
1月31日、伊藤恭子・トロント総領事は、外国人叙勲である旭日小綬章を認められたロイ・タダヨシ・アサ氏への叙勲伝達式を行った。今回の受章では、カナダ剣道連盟会長と剣道連盟副会長を務めたアサ氏の長年に渡るカナダ剣道への貢献が認められ、日本とカナダの友好関係への寄与が称えられた。当日はクリスチャン・ドランジュヴィルカナダ剣道連盟会長を始め、親族、友人等多くのゲストが出席した。
アサ氏は自身も剣道の世界大会にカナダ代表として3度出場経験を持つ剣道家であり、剣道への情熱から、1964年にトロントのJCCC(日系文化会館)に剣道クラブを設立した。1980年から2009年まではカナダ剣道連盟会長を務め、1991年から2009年までは国際剣道連盟副会長も同時に務めていた。
さらに、カナダ剣道連盟会長、国際剣道連盟副会長として、剣道大会の開催、剣道指導者や審判の育成にも取り組み、カナダと北アメリカにおける剣道の普及とその発展に大きく貢献した。
現在もJCCCの剣道クラブで日々剣道の練習に励み、若い世代の選手への指導も行っている。
伝達式では伊藤総領事から「カナダにおける剣道の先駆者として、アサ氏はカナダ剣道の成長の手助けをしてこられました。55年前にアサ氏はここトロントにJCCCの剣道クラブを設立し、今日においても剣道はその他の日本の武道とともにJCCCの文化関連プログラムの基盤となっています。カナダ剣道連盟会長、国際剣道連盟副会長として、アサ氏はカナダと北アメリカへの剣道の普及、そして日本とカナダの相互理解と友好関係の促進に貢献されました。
今日のカナダでは昔と比べて目を見張るほど剣道が一般的に取り組まれていて、大学の授業や全国のコミュニティセンターで様々な経歴を持つ人たちが剣道の稽古をしています。
アサ氏の功績が認められ、旭日小綬章を受章されたことを、大変嬉しく思います」と祝辞が述べられた。伊藤総領事からアサ氏に賞状と勲章が授けられると、会場は大きな拍手で包まれた。
賞の伝達が行われた後、アサ氏は、「このような勲章をいただけることを本当に光栄に思います。カナダとトロントで剣道が普及し、カナダ剣道が世界でも認められるようになったことを誇りに思います。強く印象に残っているのは、1991年にトロントで初めて開催した世界剣道選手権をホストした時のことです。カナダの剣道コミュニティの皆さんと一丸となって取り組んで大会を成功させることができ、とても思い出深い出来事となりました。本日はお集まりいただきありがとうございました。家族や剣道を通じた友人、そして先生たちとともにこの喜びを分かち合えることを本当に嬉しく思います」と過去を振り返り喜びを述べるとともに、出席者およびホストの伊藤総領事に感謝の言葉を述べた。
続いて、出席者代表としてエトビコ剣道クラブのシゲタカ・カマタ氏より祝辞とともに、「日本政府と伊藤総領事がアサ氏に栄誉ある勲章を授けてくれたことを大変誇りに思います。アサ氏は剣道を通して日本とカナダの文化的関係進展のため尽力してこられたので、本日の受章は大変意義深いものだと思います」と語られた。
その後、クリスチャン・ドランジュヴィルカナダ剣道連盟会長による乾杯の発声で一同は喜びを分かち合った。日本の伝統文化であり、礼儀作法を大切にする精神文化でもある剣道を広く普及させたアサ氏の功績が認められたことを心から祝福したい。