アメリカが辿る新たな2年
11月4日のアメリカの中間 選挙は民主党の大敗、というより、オバマ大統領の政策に厳しい通信簿がつけられたとみて良い。オバマケア、カナダとのパイプライン、移民問題など国内政策への逆風と言われるが、実際には経済は回復しており、問題の根源は外交を通じてアメリカを表現できなかったことにある。これからの2年はどうなるのか考えてみよう。
開拓者アメリカ。この名にふさわしい2年を再び迎えようとしているのがアメリカであろう。民主党の政策が否定され、アメリカの上院、下院ともねじれが取れ、両院を敵に回したオバマ大統領にとって、これほど八方塞がりであることはない。それは今後、議論が紛糾するというより大統領にとって諦めの境地となるかもしれない。
だが、私の知るアメリカはそんな柔で下向きの国ではない。この2年がアメリカ再生の絶好のチャンスにもなる。ポジティブシンキングのアメリカだからこそ可能な2年がやってきたともいえる。
レームダックというのは死に体にある政治家を指す。オバマ大統領にとって上院と下院という武器が何もない裸の王様である点において疑う余地はない。だが、アメリカ人は政治のバトルを楽しみたいと思っているわけではない。光が欲しい、夢が欲しい、パワーが欲しい、もっと大きな幸せが欲しい、こんなことを考えているから、レームダック化したオバマ大統領に期待を寄せないで世の中を動かすことを考えるであろう。
それは表に見えない世界から始まるかも知れない。策士は必ずいるものである。その一つに金融を牛耳るFRBを挙げておこう。FRBは知る人ぞ知るユダヤで牛耳られたアメリカ金融の中枢である。ユダヤ人が自分たちの資産を維持するために何をするか高みの見物になるはずだ。
多分だが、これからもFRBはうまい経済コントロールをするであろう。それは回帰するドル資金をいかにうまく使うかにかかっている。国内に有り余るその資金を株式などに振り向け、国内における資産形成を助ける。その間、宿敵ロシアの経済的ダメージを深くするために原油価格を更に引き下げる政策を取るはずだ。そのためにはサウジアラビアを口説かねばならない。
サウジの国家予算のベースは原油価格が80ドル前提とされている。とすれば明らかに現在の原油価格がもたらすサウジへの経済的不利益は大きいはずだが、その調整弁を閉める気配はない。理由はシェールガス、オイルの普及と世界経済の全般的な不振、更には代替エネルギーの普及で石油一辺倒の時代からは着実に離脱してきていることが挙げられよう。とすれば、サウジの石油価格リーダーシップに疑問符がついてきたとも言えなくはない。
原油価格の下落はアメリカの自動車販売がバブル化している中で大きな支えになるはずだし、欧州、日本、中国への経済支援にもつながる。イスラム国の目にもネガティブに働く。
考えてみれば最近、オバマ大統領がヘッドラインを飾ったことは少なくなってきている。あの衝撃的な大統領就任からこれほどまでにも熱が冷めてしまったのは彼の素晴らしい演説と実態がマッチしていないことに国民は気付き、失望し、苛立ったからだろうか?
だからこそアメリカを実質で引っ張るのが今やFRBであってアメリカの市場はこの行方に狂気乱舞するのである。ある意味、単純である。
では、今後、アメリカはどのような政策を取るのであろうか?
個人的には強いアメリカを内外に示していくことになるとみている。まず、経済が主要国の中では最も回復していることを理由に日本、中国を通じてアジアのテコ入れを、イギリスを通じて欧州を引き締めていくことになろう。
それには、結果としてという側面もあるが、強いドルを通じて企業買収といった常套手段は大いに考えられる。多くの日欧の企業価値が米ドル建てでみればバーゲン価格になっているともいえよう。
次いでアジアとの関係においては日本がキーであることには変わりがない。その日本が中国、韓国と関係悪化をなかなか改善できなかったことはアメリカのアジア政策において不都合極まりない。だからこそ、アメリカの支えもあり、2015年には三カ国の関係は大いに変革するのである。ではなぜ、アメリカは中国と直接ディールしないかといえば私はまだ、アメリカが中国を十分掌握していないし、共産主義と自由国の根本的相違もあろうと考える。それよりもアメリカの兄弟分であり、アジアの血を持ちながらも欧米とのコネクションが非常に良い日本にその役割を取らせるのは悪くないアイディアだし、いざという時のバックアップにもなる。
このために日本を含むアジアにとってポジティブな政策が期待されよう。TPPもその一つになる。その中で日本の農産物に対する危機感が再び議論されることもあろう。が、世の中はむしろ逆で地球儀ベースでは食料が圧倒的に不足すると思われる中、世界でも最もよい品質を生み出す日本産の産物に絶対的な需要が高まることはほぼ間違いない。むしろ私は、日本人は外国産を、日本産は高値で買ってくれる外国に流れるという構図がないとも言い切れないと思っている。それぐらい農業のファンダメンタルズは強い。
オバマ大統領が実質的にお飾りになったとしてもアメリカは何ら影響がない。大統領のゴルフの回数はまた増えるかもしれないが、それは寂しいプレーとなるのだろう。アメリカの複雑さ、奥行きとは我々の想像を超えるものがあるのだろう。
了
岡本裕明(おかもとひろあき)
1961年東京生まれ。青山学院大学卒業後、(株)青木建設に入社。開発本部、秘書室などを経て1992年同社のバンクーバー大規模集合住宅開発事業に従 事。その後、現地法人社長を経て同社のバンクーバーの不動産事業を買収、開発事業を推進し完成させた。現在同地にてマリーナ事業、商業不動産事業、駐車場 管理事業、カフェ事業など多角的な事業展開を行っている。「外から見る日本、見られる日本人」の人気ブロガーとしても広く知れ渡っている。







