新宗楓先生 追悼茶会
道裏千家淡交会トロント協会は2025年12月6日にトロント日系文化会館にて昨年の12月14日に他界された新宗楓先生の追悼茶会を開催しました。新照子(宗楓)先生は、1976年に馬場かず子(宗可)先生と浜初江(宗初)先生と淡交会トロント協会を創設。カナダ・トロントでお茶の文化を広める活動に尽力されました(その功績が讃えられ、2017年には外務大臣表彰を受賞-TORJA2017年11月号の記事参照)。
メモリアル茶会当日は、淡交会トロント協会の会長で、日系文化会館の旧館長であるJames Heron氏、現館長のJerrold McGrath氏が参列して下さいました。
ご遺族を招き、「供茶(くちゃ)」という、故人を偲び敬う心でお茶をお供えしました。

この日の掛け軸は、「日々是好日」。「毎日がいい日」という意味で、新先生が日頃のお稽古でよく好まれて掛けていた軸でした。また、新先生は生前、「私の毎日はお茶と、お茶を習いにくる生徒がいるからこそ張り合いがあり、幸せに満ちている。」と、言われていたこともあり、この日にふさわしい掛け軸として選ばれました。
新先生の遺影へお茶をお供えしたあとは、参列者へ抹茶と和菓子が出されました。この日のお茶は、新先生が銘をつけられた「雅楓の昔」。また、和菓子は新先生の茶名「宗楓」の「楓」から、カナダの紅葉をイメージした練りきんとん。

手掛けたのは和菓子作りを得意とする新先生の生徒の一人で、何 志豪(Chi-Ho Ho)。この日の為に日本から取り寄せた氷餅という食材を散らし、雪が舞う今の季節を表現しています。和菓子の菓銘は「雪楓」。亡き師を偲び、ひとつひとつ心を込めて作ったといいます。
茶名とは家元から極意を皆伝された者に与えられる茶道の世界における「本名」のようなもので、「宗」の字を冠した名前。通常、自身の名と組み合わせて名乗るのが一般的とされているのですが、新先生の茶名「宗楓」は、その当時、15代裏千家お家元であった千玄室鵬雲斎大宗匠から、「カナダと日本の架け橋に」というメッセージを込めてつけられたそうです。
鵬雲斎宗匠は2025年8月14日に102歳で永眠されました。「一碗からピースフルを」の理念をもたれ、茶の湯を通して世界平和に尽力され、世界中から尊敬されたあまりにも偉大な茶人です。新先生も生涯を通し、尊敬の念をもたれておりました。
今頃お二人は天国で再会を喜ばれているのでは。と思いを馳せております。
トロントの文化に大きな影響を及ぼした新先生は、享年94歳。追悼茶会の最後には、御子息のDarren Shin氏が、「今でもたまらなく恋しく、会いたい。でも母はいつも側にいてくれている気がする。」と。また、「母が愛したお茶を生徒の皆さんが受け継いでくれていることに感謝している。」とスピーチがあり、会場は温かい涙に包まれました。
朗らかで親しみ溢れたお人柄だった新先生は、多くの人に愛され、今でも先生との思い出は、生徒一人ひとりの心の中に、色褪せることなく刻まれています。
生徒一同はこれからも新宗楓先生の意思を引き継ぎ、トロントでお茶の文化を広めていきたいという志を新たにしました。

裏千家淡交会トロント協会: 吉田桃代




