【Two of us】日本のサブカルチャーに魅せられた日系2世の姉妹
日比野千恵さん × 弘子さん 姉妹
親友・夫婦・パートナー・仕事仲間・師弟関係・・・二人をつなげる様々なストーリー。
普段は面と向かって言えないお互いのこと。
なかなか振り返れないお互いのこと。
カナダでつながる二人のストーリーをお伝えするコーナー「Two of us」。
今回ご登場いただくのは、日本のサブカルチャーに魅せられた日系2世の姉妹。
家族みんながマンガ好きという家庭環境の中、幼い頃からマンガやアニメを観ながら一緒の時間を過ごしてきた日比野千恵さん・弘子さん姉妹。千恵さんは絵を中心とした創作活動、弘子さんはフィギュアの制作やイラスト分野での創作活動を行っており、二人の作品はそれぞれ経営に携さわっている、J-TOWN内の『Green tea Lounge』、『丹波亭』にて鑑賞することができる。また、二人はここ2年の間、同じ作品からのキャラクターコスプレをして、姉妹ペアコスプレでアニメイベントにも参加している。姉妹揃って日本のサブカルチャーに魅せられ、様々な方法で自己表現を行っているお二人に互いの深いかかわりについて語ってもらった。
千恵さん
中学生の頃からコスプレに慣れ親しんでいる私は、妹がしたい着ぐるみコスプレに合わせて、妹とのペアコスプレを楽しんでいます。妹は小心者なので、一人ではイベントに行けないのですよ(笑)それに、一人よりもペアコスプレの方がインパクトがあるので、他のコスプレイヤーたちからも写真撮影のリクエストが多くなるのですよね。
さらに、妹の着ぐるみコスプレはイベント会場でもよく目立つので、一緒に行くと、どんなに会場が混んでいても、移動のときには、まるでモーゼが海を渡るように私たちの前の道がパーっと開いていくのです(笑)イベント会場での移動は荷物が多いこともあって大変なのですが、妹のおかげでとても助かっています。
私は主に絵、平面での創作活動をしているのですが、妹が立体制作をしているのを見ておもしろそうだなと、本屋さんで粘土で作るデザートアクセサリーの本を買って、マカロンやケーキなど小さなものを粘土で作ったりもしていて、妹の創作活動の影響で、私自身の興味の幅が広がって、良い刺激を受けています。
また、すごく不思議なのですけど、妹は着ぐるみを作るのが好きなのに、裁縫が苦手なのですよ。イベントの3日前くらいに、私が自分の衣装を作り終えて隣の妹の様子を見てみると、私より2カ月早く制作し始めたにも関わらず、まだ着ぐるみの頭部しかできておらず、首から下がまったく手付かずの状態だったのです。それを見かねて私がミシンで直線縫い部分を縫う、といったことがお決まりになっていますね。
逆に私が衣装に合わせて武器を作ろうというという時には、妹の出番です。妹は粘土フィギュアなど日頃から立体制作をしていますし、学校でも3Dアニメーションを専攻していましたから、立体的なものの制作には本当に強いです。私が作り方がわからずに相談をすれば、こんな方法があるとすぐに作り方を考えてくれますし、わからない場合でも、すぐにインターネットで探し当ててくれます。材料の買い出しでも、どこに行けばその材料が手に入るのかすぐにわかるのですよね。縫物の衣装は私、武器は妹と、それを合わせて一つのコスチュームが完成します。お互いが違う分野だからこそ、補いあうことが出来ているのかもしれませんね。…認めたくはないのですけどね(笑)
千恵さん
“縫物の衣装は私、武器は妹、それを合わせて一つのコスチュームが完成。
お互い違う分野が得意だからこそ、補いあうことが出来ているのかも。”
弘子さん
私はあまり外に出ることが好きではなく、どちらかといえば休日は家にいることが多いのですが、姉の影響でイベントに参加するようになりました。以前からコスプレに興味はあったのですが、コスプレは似合う人と似合わない人がいますし、衣装や化粧のやり方も自分ではわからなかったので、最初は見ているだけでいいと思っていました。ですが、ある時、無料動画サイトで動物の着ぐるみを作っている人の動画を見て、着ぐるみだったら顔も隠れるし、誰も私だとわからないだろうと感じ、姉にも協力してもらいながら、2年前にコスプレを始めました。
私のしている着ぐるみコスプレは荷物が大きく、移動が大変なため、会場までの移動手段として車は不可欠です。私は車の運転ができないので、イベントの時には姉に運転手をお願いしており、期間中は頭が上がりません(笑)
私は小さい頃から自分のアイデアを言葉で説明するのが苦手だったのですが、学校の美術の先生がそのアイデアを絵で表現してみようと提案してくれたことをきっかけに、姉にもアドバイスをもらいながら、イメージだったものを絵で、そして今ではフィギュアや着ぐるみといった立体物で表現するようになり、規模もだんだんと大きなものとなってきました(笑)表現する手法など違う部分もありますが、自分の好きなこととなると突っ走って突き詰める、そういったところはやはり姉妹なのだなと感じますね。
また、私は絵は描けるのですが、デザインセンスがなく、絵の入った広告などを作っても、イラストとイラストを組み合わせるのが下手で、とても見にくくなってしまうのですよね。デザイン関連となると、姉に相談してアドバイスをもらっています。小学生の頃から大学までクラシックアートを勉強していた姉は、水彩画やアクリルペイントといったアナログの方が好きで、姉の絵はとてもきれいに細かく描かれています。私は姉ほど細かくは描けないので、とても参考になりますね。
姉妹といっても、私と姉とで持っているマンガの種類はバラバラで、お互い買うマンガが被るということはまずありません。ですが、お互いの持っているマンガを読んで、それを気に入ったらその作品を自分でも買うといったケースもありますね。アニメの趣味も違うのですが、一部は同じものを見たり、二人が好きだとわかっているものは、時間が空いたときに一緒に見たりもします。そういうとき、作画のクオリティや声優さんについて、お互いの意見を交換することは、アニメの楽しみをさらに増してくれますね。
弘子さん
“アナログとデジタルでアプローチの方法は異なっても、自分の好きなことへは突っ走ってしまう、そういうところはやはり姉妹なのだなと感じる。“