新年のご挨拶 日系文化会館理事長 ゲリー川口
明けましておめでとうございます。2020年を思い返すと、私には“仕方がない”という表現が浮かんできます。非常に厳しい状況に直面せざるを得なかった多くの皆様には、新年に際しまして心より御健康とご多幸をお祈り申し上げます。“がんばって!”の心意気で2021年に臨みましょう。
念願のワクチン開始が、コロナ禍終焉の始まりとなることを祈ると共に、東京オリンピックの開催が、ソーシャルギャザリングや旅行再開のスタートボタンとなることを期待しています。
日本人は自然災害や病気、安全衛生上の理不尽な状況に直面すると、一種の諦観をもって、しかし我慢強く柔軟に対応します。その姿勢は他の国々も大いに学ぶべきでは、と思います。
カナダにいらしてまだ新しい皆様は、日系カナダ人の歴史をご存じでしょうか?特に1940年代、真珠湾攻撃の後、日系カナダ人が全ての財産を没収され、僻地の強制収容所に入れられた暗黒の時代を。当時のカナダ政府は日系人から没収した船や家、土地などの物や財産をほかの一般カナダ人へ無断で売却しました。戦後もそれらが返却されることはなく、50年近くたちようやく戦後補償となりました。その間日系カナダ人は、”仕方がない”“がんばって”と困難を乗り切ったのです。
今回の感染症は、私達世代が直面する初めての世界規模の災厄ですが、祖父母世代を見習い悲観的になることなく、忍耐強く立ち向かえば、きっと乗り越えられることと信じています。
日系文化会館(JCCC)は、そんな日本人の精神気風を受け継ぎ、今なお厳しい状況下、皆様が少しでも安心して楽しく過ごせるようにと様々なサポートや、オンラインでカルチャークラスやエンターテイメントを提供しています。JCCCも皆様同様に、この困難に必死で立ち向かい乗り越えようとしています。公的支援や多くの皆様からのご寄付で、財政的にも破綻することなく新年を迎えられました。皆様には心から感謝申し上げます。コロナ禍収束後には、最高の形で皆様をお迎え出来るよう準備を続けています。まだJCCC未経験の皆様、再開後にはぜひ一度いらしてください。心から歓迎します。
JCCCの森山ヘリテージセンターでは、2021年2月に「丸:日系移民物語」という展示を開始する予定です。1800年代末に始まる日本人の海外移住の実態や背景を、地球的視野で展示紹介します。何故多くの日本人がアメリカ、カナダ、ブラジル、ペルーを始めとする海外に移住したのか、そんな疑問も解消されるでしょう。過去150年、日本人の海外移住が各地域社会にどれほど貢献したのか、またいかに多くの成功者を生み出したのか、多くの豊富な資料で皆様にご理解いただけることでしょう。皆様が4世であっても、5世であっても、またカナダに新しく来られた方であっても、この展示にきっと興味を持っていただけると思います。「丸:日系移民物語」は今後シリーズで展開する予定ですが、皆様がどんな立場の方であっても、自分に重ね合わせて楽しめる展示となるよう準備してまいります。今後、シリーズ化で継続していく「丸:日系移民物語」にご関心を持たれた方、係わりたいと思われる方、皆様を歓迎します。
今年も一緒に頑張りましょう!