日系カナディアン作家 レスリー・シモタカハラ氏 初の小説「After the Bloom」出版記念会ルポ
2012年に出版された自叙伝“The Reading List”が加日文学賞を受賞、自身も日系カナディアンというバックグラウンドを持つ期待の作家、レスリー・シモタカハラ氏は5月18日、ジャパンファウンデーションにて初の小説“After the Bloom”の出版記念会を行った。
代表挨拶には4月下旬よりジャパンファウンデーション所長に就任した清水優子氏が登壇し、祝いの言葉とジャパンファウンデーションにて記念会を主催でき誠に光栄であると述べた。続いて著者のシモタカハラ氏もステージへと招かれ、会場に集まった人々とこの出版に関わった関係者らへの謝辞を述べ、自身の持つバックグラウンドが今回の小説を書く上で非常に影響を与えるものとなったということを語った。
そして“After the Bloom”の序章部分の朗読が行われた後、質疑応答コーナーが設けられ、創作意欲の源となっているものは何かや、今回の作品を執筆するにあたりどのようなリサーチが行われたのかなど、会場からは興味深い質問が次々と投げかけられた。幣紙に対しては「私がこの本を書いたのには、私自身、私の祖母や祖父が体験した戦時の日本人捕虜収容所について詳しく知りたかったという背景があります。この本を手に取ってくれた友人たち、また私のことをよく知らない人だったとしても、この本を通して何かを感じ取っていただけたら非常に嬉しく思います。」とコメントを寄せた。現在は香港を舞台にした新作小説を執筆中であるとのことで、今後も彼女の活躍に大いに期待したい。
After the Bloom あらすじ
1980年代トロント。リタは突然行方不明になった母リリーを捜索する中で、戦時中、家族が経験した強制収容所での秘密を知ってゆく。迷路のように入り組んだ秘密たち。果たしてリタは母を見つけることはできるのだろうか。