第8回 Frosh Week 2019! 新入生のためのオリエンテーション | University of Toronto |メープルバレー発。カナダの大学情報・アカデミア事情
カナダでは9月と言えば新学期がスタート!「Back to School!」の文字を至る所で見かけるシーズンです。多くのカナダの大学では8月下旬から大学または大学院へ入学する新入生向けに様々なオリエンテーションが始まります。日本と同様に「Orientation Week」と呼ぶ大学もあれば、「Frosh Week」または「O-Week」などと呼ばれることもあります。トロント大学では3つのキャンパスでそれぞれの特色を生かしたオリエンテーションが行われ、キャンパスには学生で溢れかえります。私のように大学で何年も働いている人たちにとっては、この光景を見るたびに秋学期が目前に迫っていることを知り、夏が終わったと実感します(気象学的にはトロントでは9月も夏日になったりする日もあります)。今回はトロント大学で毎年行われている新入生用オリエンテーションの役割などを紹介したいと思います。
1.UTSC FROSH 2019: THE RISING
トロント大学ScarboroughキャンパスのScarborough Campus Student Union(SCSU)が主催する今年のFrosh Weekは 8月28日から30日の3日間行われ、9月4日には3つのキャンパスが集まりダウンタウンで大パレードを行い締めくくります。Frosh Weekは新入生にこれから始まる大学生活において必要不可欠な情報を気楽に楽しく、様々なアクティビティを通して提供することをモットーにしています。そのため、大学生活が始まる前の単なる「パーティー」と考える人も多いですが、参加する学生は一人当たり85〜100ドル払うため、SCSUはしっかりとした計画を大学の関係者等と共に作り、現役大学生が夏のアルバイトまたはボランティアとして参加し盛り上げます。
ScarboroughキャンパスではFrosh Weekの他に様々な学部・学科で新入生向けのオリエンテーションを開催するため、早いところでは7月初めから、また遅いところでは9月下旬に行われる場合もあります。
2.SGS Orientation 2019
School of Graduate Studies(SGS)ではすべての大学院へ入学する新入生に向けてEssential Guide for Grad Studentsという100ページにも及ぶガイドブックを毎年制作し大学院生の新生活に役に立つ情報を掲載しています。SGSでは毎年9月と1月の第一週目にオリエンテーションを主催し、そのオリエンテーションでは研究系(Research-stream)と実務系(Professional)の大学院生用にセッションを分けて対応しています。また留学生向けのオリエンテーションや、Mississauga、Scarboroughキャンパスでは、各キャンパスに所属する大学院生にあったオリエンテーションが行われています。
私はSGS主催のSt. GeorgeキャンパスでのオリエンテーションとScarboroughキャンパスで行われた所属先の環境学部でのオリエンテーションと両方共に参加しました。St. Georgeキャンパスでのオリエンテーションは規模が大きく、キャンパスツアーだけでも複数のグループに分かれて周りました。都市に位置する大規模な大学を実際に歩き、沢山の新入生に交じって初めて「私はトロント大学に入学するんだ」という実感が湧いたのを思い出します。私の所属先の環境学部が主催するオリエンテーションは規模が小さいですがとてもアットホームで、ランチタイムには新入生との交流を深めるため多くの学部関係者や事務員の方々そして現役大学院生が参加し、新入生を温かく迎えています。オリエンテーションでは、学部長のあいさつ、各研究室を担当する教授のプレゼンテーションやGraduate Students’ Association at Scarborough(GSAS)やCUPE 3902からの説明などがあり、ほぼ終日行われます。
3.Tri-Campus TA Day
Centre for Teaching Support & Innovationが主催するTri-Campus TA Dayは毎年8月下旬に終日行われます。新しくTeaching Assistant(TA)として働き始める新入生用のオリエンテーションの他にTAとしてすでに働いている現役大学院生用のセッションも同時に行われ、また3つのキャンパスに所属するすべてのTAが参加することが出来るため、とても規模の大きいオリエンテーションイベントです。
セッションではSciences & EngineeringとHumanities & Social Sciencesに分かれチュートリアルや試験の採点の仕方などそれぞれの分野に適した内容で行われ、また留学生TA向けに文化の違いやユニークな背景を持った留学生TAがこれから学部生に教えるまたは教えられる立場としてどのような役割があるのかなど、今後TAとして働いていく中で必要不可欠な知識や有益な情報を得られるような内容になっています。Mississauga、Scarboroughキャンパスでも同様に各学部∙学科で新TAまたは現役TA用のオリエンテーションが行われます。オリエンテーションでのセッションは内容によって参加を義務付けられているものもあるため、給料としてTAに支払われます。
Yukari
トロント大学環境学部で博士号取得。カナダ北部の環境問題や温暖化について研究中。カナダの大学学部、大学院留学、ポスドクの経験を元にカナダのアカデミアについて情報発信していく。