カナダの人気ブロガー ハピバナさん インタビュー
海外生活TIPSやカナダ情報などを紹介し、現在月間15万アクセスを誇る人気ブログ「Happy Banana’s Blog」をご存知だろうか。東日本大震災を契機にカナダに移住。7歳と1歳の子育てと家事をこなしながら、移住や生活情報全般について実際に体験し得た経験から多くの人に役立つ情報を発信している。今回は魅力的なブログを生み出しているハピバナさんの横顔に迫って見たいと思う。
■ハピバナさんがカナダに移住しようと思ったきっかけを教えてください。
もともと夫婦ともに外資系企業で働いており、海外で生活することへの憧れを抱いていましたが、その気持ちを後押しするきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災でした。度重なる大きな余震に、原発事故、これまで当たり前だった暮らしが覆され、常に不安を抱える毎日でした。今後の人生をどうしたいのか、夫婦で真剣に向き合い、海外移住を考えるようになりました。
移住先にカナダを選んだのは、新婚旅行で訪れたバンクーバーの印象が非常に良かったことと、他国に比べると永住権のハードルが低かった点です。私自身、日本では10年ほどシステムエンジニアとして勤務していたので、その経歴を活かして、2013年に連邦政府のスキルドワーカープログラムに申請しました。
■カナダの生活を綴ったブログ「Happy Banana’s Blog」は月間15万アクセスを誇る人気ブログですが、このブログを始めようと思ったきっかけなどを教えてください。
ブログを始める前は、よくTwitterでIELTS対策や、永住権申請、カナダ移住などに関することをつぶやいていました。「IELTSのWriting添削サービス、ここが一番良かった!」、「この本、海外移住の手続きや引越しのポイントが分かりやすい!」、そんなつぶやきがリツイートされ、自分の経験が誰かに役立つことがあるんだ!と、感じることができました。
我が家がそうだったように、日本には海外移住を目指す方が多くいます。そんな方に向けて、IELTSの勉強、永住権の申請、海外引越準備など、カナダ移住に至るまでの経験などを紹介したいと思うようになりました。しかし、Twitterでは文字数の制限があり、言いたいことが伝えきれない!そこで、もっと有益な情報を分かりやすく紹介したくて、ブログ開設に至りました。
もともと探求心が強く、書くことも好き。会社員の頃から、資料作りなどには無駄に時間をかけて、こだわりがちでした。ウェブサイトを作り、記事を書くブログ運営は自分の性格に非常に合っていたようで、今はブログを続けることが生きがいのようになっています。
■Happy Banana’s Blogには生活者目線の魅力的なコンテンツがたくさんあります。素材探しのコンセプトを教えてください。
Happy Banana’s Blogは、留学や海外赴任、移住などでカナダに長期滞在を考えている方、カナダに暮らしている方に向けて、カナダ生活情報や海外情報などを中心にお届けしています。記事の内容は私の興味から綴ったものもありますが、多くの記事が自分自身の不安や疑問が元になっています。海外経験ゼロだった日本人夫婦の我が家にとって、カナダの文化、制度は本当に分かりづらく、移住した当初も、そして、移住から2年半が経過した今でも、困惑することだらけです。 でも、自分が抱いた不安や疑問は、きっと他にも同じように感じている人がいるはずと、自分の疑問が解消したように、誰かの疑問が解消できたら…、その思いをコンセプトに、ブログ記事の執筆にあたっています。
例えば、温暖な四国で生まれ育った私は、カナダに来る前は「カナダの冬って、みんなどんな格好で外を出歩いているのだろう!?」と、とても疑問に思ったものでした。その時の疑問を元に、「トロント冬のストリートスナップ」という記事を紹介したのですが、多くの方が、「カナダ 冬 服装」などのキーワードで検索し、読んでくださっています。
また、記事を書くときは、「正確に、詳しく、とことん分かりやすく」をモットーにしています。特に、制度紹介の記事になると、間違ったことは書けません。自分の知識だけでは不十分なことが多いので、とことん時間をかけて調査した上で、記事執筆しています。
理想は、このページを見たら全部の疑問が解消されて、もうグーグル検索を続けなくていいような記事作りです。でも、実際には、読者の方から質問やコメントをいただいて、まだまだ甘かった…と反省することも多いです。いただいた意見を反映していくことで、より分かりやすい記事に近づけていけたらと思います。
■カナダ生活を発信されているブログに届く読者の方の反応などはいかがですか?
これからカナダに来ようとしている方から、「参考になった」、「気持ちが後押しされた」、と言っていただけることが多く、自分の経験が役立ったことが実感でき、とてもうれしく思います。また、カナダ生活の長い先輩日本人の方からも、「カナダ生活はもう10年になるけど、知らないことが多く、役立ちました!」と、身に余るお言葉をいただくこともあり、非常に光栄です。
■長く日本で生活してきたハピバナさんにとってカナダの生活を一言で表すとどんな感じでしょうか?
私にとってのカナダの生活は「家族の絆が感じられる生活」です。
日本にいた頃は、夫婦ともに仕事に追われ、平日はもちろん、土日も仕事で潰れがちでした。特に夫は、残業や持ち帰り仕事が多く、家族で一緒に過ごす時間というのは、ほとんどありませんでした。カナダに来てからというもの、夫はほぼ毎日定時帰宅するようになり、すっかり生活が一変しました。家族そろって食事するのが当たり前になり、子供もお父さんと遊ぶのを楽しみにするようになりましたし、カナダでは家族ぐるみの友人付き合いが多いので、どこに行くにもたいてい家族一緒。カナダに来てからというもの、家族の絆がぐっと深まったのを感じます。
また、カナダで移民家族が生きていくというのは、分からないことや、大変なことも多いです。夫婦ともに、カナダの文化や習慣を全く知らないところからスタートしているので、今までの日本での価値観などは通用せず、何かあるたびに、「あーでもない、こーでもない」、「ああしてみる?こうしてみる!?」と、夫婦で話し合う時間が増えました。お互いが協力しないと、生きていけないというか…。おかげで、日本にいた頃よりも夫婦円満!夫婦喧嘩もすっかり激減しました。
■これからカナダに移住する・したい方々に向けてメッセージをお願いします。
カナダへの移住は、仕事、言葉、文化の違い、新しい人間関係、現地生活への順応など、乗り越えなければならない壁も色々あります。特に永住権を取得しなければならない場合は、IELTS対策なども大変だと思います。我が家の場合は、夫婦共に海外経験ゼロ、30代半ばで仕事を辞めて、誰一人知り合いのいない地への移住だったこともあり、「本当にやっていけるのかな!?」と、不安でしょうがなかったですし、実際、今の生活に至るまでは、大変なことも多かったです。でも、人生なんとかなるもの!振り返ってみると、大変だったことは全ていい思い出。そして、その時の努力や頑張りは、自分の自信にも繋がっています。
英語力に関しても、ほぼ30代からのスタートでしたが、子育てや家事の合間を見つけて1日10時間以上勉強し、永住権に必要なIELTSスコアに到達しました。本気で取り組めば、何歳からでも英語は伸びると強く実感します。これから永住権取得する方、移住しようとされている方は、大変なこと、不安なことも多いと思いますが、決して諦めずに挑戦してほしいと思います。