カナダ総選挙ー自由党の政策内容|カナダで永住権!トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
2025年4月28日に総選挙が行われます。6つの政党が現時点(2025年4月20日)で戦いを繰り広げていますが、Liberal(自由党)とConservative(保守党)の一騎打ちになるであろうと言われています。4月18日より4日間のAdvance Voting(前投票)が行われています。開始翌日、4月19日に自由党の党首であるカーニー氏は具体的なPlatform(公約)を発表しました。一方、保守党党首のポワリエーブル氏は4月20日時点で未だ公約の発表が無く、前投票が完了する前に発表が間に合わないのではないかとも言われています。
今回の総選挙でどの政党に投票するかを考えた時、重要なポイントのうちの一つは「トランプ氏との外交をそつなくこなすことができるのは、カーニー氏、ポワリエーブル氏のどちらであるか」であると言われています。ただカナダ在住の日本人の多くの方は(市民権を得ていないため)投票権が無いことから、公約で掲げられている内容の一つである、「今後の移民政策」についてもっと知りたい、と思う方が多いのではと思い、今月号では自由党が発表した具体的な内容について解説します。
保守党の公約内容と比較する形で解説したいところでしたが、残念ながらこの記事を書いている4月20日時点で発表されていないため、自由党の公約内容のみとなりますこと、ご了承下さい。5月号が発行される頃にはカナダの首相が決定していると思いますので、もし保守党が勝った場合には、6月号で保守党の移民政策について解説致します。
自由党の移民政策
自由党の基本的概念として、カナダは「モザイク国家」であり、多くの家族が「より良い生活を築き、カナダという国づくりに参加するためにこの地にやって来て、ビジネス、文化、宗教の多様性、そして高い教育水準を持つ労働力をカナダにもたらした」としています。そしてこの多様性こそがカナダの強さの源であると述べています。ただ残念ながらパンデミック以降、前トルドー政権は移民の受け入れ数を急激且つ継続不可能なペースで増加させてしまい、その結果カナダに移住する人のために住宅やインフラ整備が追いつかなくなってしまいました。
カナダは社会的危機に陥っており、政府は移民者に対して雇用、社会サービス、住宅を保障する責任があるとしています。つまり政府がこれらの責任を果たせない間は、社会状況が正常に戻るまでは移民者の受け入れ人数を調整する必要があると前置きしています。
それでは、カーニー氏が掲げている移民政策を下記紹介します。
- 短期就労・就学者数を2027年末までにカナダの人口の5%(前年度は7.3%)に抑え、住宅危機やインフラ整備、政府のサービスを落ち着かせる。
- PRの年間承認数をカナダの人口の1%未満に安定させ、カナダの経済成長と繁栄に貢献できる世界最高レベルの人材を優先的に受け入れる。家族の引き纏めや、難民等の受け入れも継続予定。
- カナダで高成長中の企業や起業家が、国家経済の成長に貢献できるような新しいプロジェクトを実施できるように支援する。カナダ経済の成長を後押しするために、アメリカ在住の高いスキルを持つ人材を惹きつける。
- 州や準州と連携し、外国で得た資格や国際的な職務経験の承認手続きを迅速化・簡素化する。移民者がカナダに移民した後、直ちにスキルを活かせるようにする。
- デジタルツールを活用することで各種申請処理時間を短縮して遅延を解消し、公平で迅速な移民申請が可能となるよう、信頼性のある移民制度を構築する。
- 移民・ビザ申請が拒否された者を速やかに退去させるなど、公正で信頼性ある制度の確立に向けた取り組みを継続する。
- 国境のセキュリティ審査の体制を強化し、入国不適格者を迅速に特定して退去させる。ビザ申請条件を厳格化し、不正対策の強化を通じて国境の安全性を向上させる。
- ケベック州以外でのフランス語圏移民の割合を2029年までに12%に設定する(現在の目標から20%増となる)ことで、カナダ全土でフランス語圏コミュニティーを強化する。
- 難民者等に対する法的支援を強化する。申請を速やかに審査し、不要な上訴の削減を図る。
以上がカーニー氏が掲げる、移民政策に関する公約です。総選挙にてカーニー氏が勝利した後、この内容全て実行されるかは分かりません。またこの内容を読んで「具体的にどのように実践するのかを知りたい」と思った方もいるかもしれません。これからビザ申請・移民申請を考えている方は、今後政府から発表されるであろう「様々な移民法のルール」を把握し、タイミングを見計らって、正確に申請する必要があるとお考え下さい。引き続き短期滞在者にとっては厳しい状況が続きますが、最新の移民法を把握している弁護士や政府公認移民コンサルタントに相談することもご検討されることをお勧めします。