アメリカのICE、カナダのCBSA:移民執行の「役割」と「距離感」|カナダで永住権!トロント発信の移民・結婚・就労ビザ情報
アメリカではICE(Immigration and Customs Enforcement)に関するニュースが連日報道されています。2025年1月にトランプ氏が大統領となって以来、ICEの理不尽な活動が取り上げられるようになり、負傷者や死亡者も発生していることが大変問題視されています。 実際、弊社でも昨年より「アメリカからカナダに移住したい」、「長期間アメリカで暮らしていたが、カナダに本帰国して暮らしたい」、「アメリカで暮らす両親をカナダに呼び寄せたい」といったご相談を相次いで頂くようになりました。カナダ人はアメリカに旅行することを控えだし、アメリカの国境でカナダ人が拘束されたというような話も聞くようになりました。アメリカが世界各国より危険な国という印象を与えるようになったのは、近年におけるICEの過激な活動も原因であると言われています。
そこで今月号は、アメリカにおけるICEの役割と、カナダにおけるCBSA(Canada Border Services Agency)の役割の違いについて説明します。
ICEとは
ICEは、アメリカ国内で移民法を執行する政府機関です。空港や国境で入国審査を行う機関ではなく、すでにアメリカに入国している人を対象に、在留資格に関する調査や対応を行います。たとえば、在留資格に問題があると判断された場合の拘束や送還(国外退去)の手続きなどがICEの主な役割です。
また、ICEは移民に関わる犯罪捜査も担当しており、人身売買や書類の不正、密輸などの調査を行うこともあります。そのため、ICEの職員は地域の中で活動することがあり、職場や街中で姿を見かけることもあります。アメリカでは、入国後の移民法の執行を主にICEが担っているため、移民者コミュニティーにとって影響の大きい機関として知られています。
CBSAとは
CBSAは、カナダの空港や陸路の国境で入国審査や税関業務を行う政府機関です。カナダに入国する際、パスポートやビザ、滞在目的などを確認したり、持ち込み荷物の検査を行ったりするのがCBSAの主な役割です。観光、留学、就労、永住など、どのような立場であっても、カナダに入国する際に最初に対応されるのがCBSAの職員です。また、関税の徴収や、持ち込みが禁止されている物品の取り締まりなど、税関としての役割も担っています。
CBSAは国境での業務だけでなく、カナダ国内での移民法の執行も遂行しています。たとえば、在留資格の条件が守られていない場合や、正式な判断に基づき国外退去が必要とされた場合には、調査や手続きを行います。
ただし、こうした対応は原則として書面による通知や正式なプロセスに沿って進められ、通知を受けた者が状況を理解した後、必要に応じて弁護士や政府公認移民コンサルタントなどに相談する機会が与えられます。アメリカのように地域社会の中で突然取り締まりが行われるケースは稀であり、CBSAの対応は比較的予測可能な範囲で、ルールに基づいて行われるのが特徴です。
カナダの日常生活の中で、CBSAと直接関わる場面はそれほど多くありません。普段の生活や職場、学校の中で突然CBSA職員と接することはほぼ無いため、CBSAは「違法行為を取り締まる機関」というよりも、カナダの国境と移民のルールを支える、大切な役割を担う存在として認識されています。つまり、法律に従って安全で公平なカナダの入国と滞在を守ることが、CBSAの大きな役割です。
カナダ政府は過激ではない
CBSAとICEはどちらも移民や国境に関わる政府の機関ですが、一般の人たちとの関わり方や権限の範囲が大分違います。つい最近アメリカのミネアポリスでICEの職員が一般の女性を射殺した事件が大きなニュースになり、住民や専門家、裁判所まで巻き込んで大きな論争になっています。ICEの行動は「正当防衛だったのか」「過剰な対応だったのではないか」といった強い批判が出ています。
ICEはアメリカの地域社会の中でも積極的に作戦を行うことがあるため、現場で 武装した捜査活動や強制的な対応が目立つことがあり、住民が怖さを感じたり、信頼されていないとニュースでも度々報道されています。
一方、CBSAが関わる場面の多くは国境関連手続きであるため、日常生活の中で、突然地域で発砲されるような危険な状況に直面することは非常に稀です。CBSAの対応は、手続きや通知を重視し、法的なプロセスに沿って行われるのが基本です。つまり違反が判明次第、書面で通知を受領し、対応の機会が与えられます。これはカナダの制度全体が 手続きの透明性と慎重さ、公平性を重視する仕組みになっているためです。
如何でしょうか。カナダでは日常生活の中で突然強制的な対応に遭うことは殆ど無いため、アメリカの移民法の遂行方法と比較すると、カナダは移民や外国人にとってより安全で安心できる環境が整っていると言えます。






