第2回目 エア・カナダ・セールスマネージャー・アジア担当 マーク橋本氏 × IACEカナダ・トロント店支店長 満木貴広氏|日系旅行会社と語り合う日本とカナダをつなぐ旅
エア・カナダ・セールスマネージャー・アジア担当 マーク橋本氏
IACEカナダ・トロント店支店長 満木貴広氏
―「IACE」の成り立ちについて教えてください。
満木さん: 弊社は1970年代にニューヨークで設立され、正式名称は「International Association for Culture Exchange」と言います。当初は、戦争移民としてアメリカに残っていた日本人の帰国を支援することが主な業務でした。1ドル360円の時代でしたから、なかなか日本に帰るのも困難だった中、弊社は飛行機をチャーターして皆さんの帰国をサポートした日系としては初めての旅行会社でした。
支店はトロントのほか、バンクーバーとカルガリーの3拠点にあり、日本人らしい正確さとカナダらしい温かみのあるサービスをモットーにカナダにいる日本人のお客様だけでなくカナディアンにも頼れる存在になれるよう日々頑張っております。
―「エア・カナダ」が「IACEカナダ」を評価している点とは?
マークさん: カナダは大きな国なので、同じ国の中でも時差があります。その中でお客様とのファーストコンタクトを3拠点構える「IACE」にフォローしていただける点は非常に助かっています。
満木さん: 弊社は全ての拠点で顧客情報をはじめとしたデータの共有が出来ているので、例えばバンクーバーのお客様が旅行日程の変更や緊急の手配を希望したい時に、時差を活かしてトロント店などで迅速に対応することも可能です。
データの共有化と複数拠点の存在により、お客様がスタッフと直接連絡が取れる点がメリットだと考えています。
―お二人ともお互いに旅行業界におけるプロフェッショナルとしてどういう部分が頼りになりますか?
マークさん: 私は、満木さんと比べるとまだまだ旅行業界に身を置いてから日が浅いので、航空業界と旅行業界それぞれの知識を勉強させていただいています。
ある相談をすると、満木さん自身のご経験と今の事情を掛け合わせた上で有効なアドバイスや提案をいただけるので、非常に助けられています。
満木さん: 仕事の案件でも、当然できることとできないことがあるのですが、マークさんはそうした案件に対しても、別の手段を探して対応してくれたり、素早い対応が日系旅行業界の中でも評価が高い点かと思います。私とマークさんの関係性は、結果的にお客様への還元につながることが大きなポイントだと思いますし、ビジネスパートナーとして非常に信頼しています。
―東海岸エリアから唯一日本への直行便がある「エア・カナダ」の魅力を教えてください。
満木さん: 路線が多いことが大きな魅力ですね。トロントやモントリオールから羽田や成田への直行便があるのは周知の事実ですが、例えば「エア・カナダ」は台湾やソウルにも飛んでいるので、日本への直行便が混んでいる時でも、アジア諸国を経由して日本に向かう航路を案内することができます。
繁忙期はもちろん、出張関連でも例えばカナダからソウルに立ち寄って、そこから日本に向かうといった航路を一つのチケットで準備することが出来るのは、多くの路線を持つ「エア・カナダ」の特徴ですね。
マークさん: このような仕組みは「トライアングル・トリップ」といって、「エア・カナダ」としても北米とアジア諸国をつなげる豊富なネットワークを大きな強みとしています。このような航路は、お客様が個人でウェブから検索して予約することは非常に難しいのですが、旅行会社であれば様々な提案ができるので是非多くの人に活用してもらいたいですね。
満木さん: 例えばトロントからバンクーバーに移動して1週間ほど滞在してから日本に帰りたいというお客様がいた場合、多くの方がトロントとバンクーバー間の航空券、バンクーバーと日本間の航空券を別々に取らなければいけないと考えてしまうと思います。
しかし、これは実は一つのチケットにまとめることができるんです。それによって預けることができる荷物も国際線の条件が適用され、2つまで無料で預けることができたります。このような豆知識も提案できるのが旅行会社の武器だと思います。
―近年、東京や京都などの主要都市以外の地方にも訪日観光客が増えているそうですが、実際はどうなんですか?
満木さん: 意外とノープランの方が多いですね。日本に行くことは決めているけれど、どこに行くかは決めていないという方です。そういった方にどういった旅程を提案するかは我々の腕の見せどころだと思います。
なかなか地方都市にはフォーカスが当たらないので、日系旅行会社だからこそ、マイナーな情報をどんどん提供していくことが必要だと考えています。リピーターに対しても、新たに地方都市の魅力を発信し続けていくことが重要だと感じています。
マークさん: 2回3回と日本へ旅行するお客様は、やはりユニークな体験をしたいと考える方が多いと思います。もちろんオンラインでも調べていると思うのですが、地方都市の情報はなかなか調べきれないのが現状です。
だからこそ我々がプレゼンをしていくことによって、ネットでは探せない情報を提供する体制が整っている旅行会社は、非常に大きな意義があると思っています。
―「エア・カナダ」と「IACE」。お互いにこれから期待していることはありますか?
マークさん: すでに満木さんからはいつも斬新なアイデアをもらっていることが多いです。その国に滞在していれば知っているけれど、新しい旅行者は知らないような情報というものがあります。
そういったアップデートされた情報を、フロントラインのスタッフとも共有し、カナディアンにとっての日本旅行の窓口として一緒に頑張っていけたらいいなと思っています。
満木さん: いまマークさんがおっしゃったように、航空会社とお客様をつなぐ窓口が旅行会社だと思います。もし何か要望があっても、個人で直接航空会社に連絡をするのはなかなか難しいですよね。
そこに我々が入ることで、お客様からの要望やアイデアをダイレクトに航空会社に伝えることができます。それにより効率的なサービスの実現や改善が可能になると思います。
―来年は東京オリンピックも控え、夏休みを含めて繁忙期は非常に混みあうことが予想されますが、注意しておきたいトピックなどはありますか?
満木さん: 夏を含めて繁忙期は航空券を早めに手配することが大切です。ほとんどの航空会社は「90日前早割」を用意していますし、最近は価格的なメリットを提示する流れになっています。特に地方に行く人は乗り継ぎ便の手配に手間取ることもあるので、早めの準備が必要ですね。
また、家族連れの場合、座席が並んで取れないこともよくあります。しかし「エア・カナダ」は、子供連れのお客様はなるべく隣同士で座れるようにアサインしてくれるので、ファミリー層に優しい航空会社だと思います。
他にも空の旅はトラブルがつきものです。例えば航空券をオンラインで取っていると何かあった時は自分で対処しないといけません。しかし、旅行会社を仲介してもらえればそうしたトラブルにも代わりに対応できるので、お客様のコンシェルジュ的な役割だと思って活用してほしいと皆様に伝えています。
マークさん: オリンピックで例年になくホテルや交通も混み合うことが想定されるので、あえて訪日観光の時期をずらそうという動きも増えてきます。早めに旅行会社の方と相談をすることで、どの時期にいくら位の価格になるかを見積もりしてもらい、旅行計画と予算のイメージを掴んでおくことが必要だと思います。
満木貴広
愛知県生まれ。学生時代シアトルからニューヨークまで車で横断をし旅行の楽しさに魅了される。その後1998年IACEトラベル名古屋支店に入社。現在は3支店の統括マネージャーとして日々業務をこなしながら自らのスキルアップのため手配業務も行なう。
マーク橋本
トロント生まれの日系二世。家業はトロントで懐石料亭を営む。大学卒業後は京都の老舗旅館で3年間務める。エアカナダではコールセンターからスタートし、現在は日本旅行会社を中心にアジア・セールスマネージャーを担当する。